時に正義は残酷だ。
傷つけてはいけない人を傷つけてしまう。
それでも正義を貫かなきゃいけない。
僕らは背後にあるその辛さも理解しておくべきだろう。

それにしてもハーベイ・ワインスタインってとんでもない悪党。
自分の権力を利用してやりたい放題。
あの異常な性欲にはむしろ感動を覚えるが、
(もちろん軽蔑してます・・・)
映画界においてもビジネスの現場においては決して許してはいけない。

すでに周知の事実として解説すれば本作は実話。
映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性的暴行を
ニューヨークタイムズの女性記者が訴えた社会派ドラマ。

このあたりを当然の如く製作するアメリカ映画を改めて尊敬。
つい数年前の事実をあぶり出し、世に出す力はさすが。
前トランプ大統領も酷い扱いで登場するし・・・。
英語の分からない僕でも声が似ているのは理解できた。
いやはや立派。

僕はこの事件を映画プロデューサーと女優間の問題と捉えていたがそれだけではなかった。
ヤツに使われる部下、秘書もその対象。
それが何十年もうやむやにされた背景にはアメリカの法的不備もあるだろうし、
弁護士が必ずしも正義になるとはいえない。

日本にも悪徳弁護士はいるが、アメリカは更にお金だけで動く弁護士も多数存在するんだ。
だから勘違い傲慢プロデューサーも生まれるんだろうね。

映画なのでドラマチックに作ってあるとは思う。
しかし、この2人の新聞記者の執念と真実に向かう姿勢はジャーナリストの鏡。
本人たちに働き方改革は関係ないが、それを支える旦那は素晴らしい。
家族は大変だが、こうした理解が仕事をする上で大切だと改めて感じさせてくれた。

主演のキャリー・マリガンは一昨年「プロミシング・ヤング・ウーマン」で知った。
とても面白い作品で彼女の役柄も魅力的だったが、今回は対照的。
同じ女優とは思えない。
もうひとりの主役ゾーイ・カザンと共にカッコいい記者を演じていた。

こう考えると取材を積み重ね検証し事実を明らかにするメディアは大切。
そこに対しては対価を払わなくてはならない。
ネットで全て無料ではちょっとね・・・。

数人の女性が自ら覚悟を持つことで結果的に世界が変わった。
その勇気がなければ今も根強い問題が残っていたかも・・・。
小さな力が世の中を変えていく。

こういった作品も観ておかないとね。