あまりにも心地いい音楽に序盤はついウトウトしてしまった。
次第に馴染み深い音楽とモリコーネの語りに吸い込まれて、
気づいた時にはうっすらと涙を浮かべていた。
映画コラムニストとか映画ファンとかエラそうにいいながらも、
音楽がここまで映画に影響を及ぼすとは思っていなかった。
映画音楽が作品に寄り添い一体化する。
音楽が映画に乗っかるのではなく、歩調を合わせ共に前に進む。
映画を盛り上げるだけの存在でないことがようやく理解できた。
ちと、遅いね。
本作は映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネを追いかけたドキュメンタリー。
インタビューと彼が手掛けた作品をシンクロさせながら、時代の変遷とともにその人生を映す。
モリコーネが手掛けた映画音楽は500本以上という。
「ニュー・シネマ・パラダイス」のように映画を思い浮かべた瞬間に
音楽が頭の中を流れるような作品もあれば、超マイナーな作品まで多数。
70年代あたりのイタリア映画は前衛的な作品も多そうだし。
そこにモリコーネの音楽を重ね合わせるとよりインパクトの強い映画になるわけだ。
若かかりしクリントイーストウッドが主演したマカロニウエスタンも音楽が作品を押し上げている。
セルジオ・レオーネにしてもクエンティン・タランティーノにしても、
モリコーネの主張を100%受け入れるのは信頼と実力の証か。
そう考えるとキューブリックは勿体なかったね。
諦めなかったら、どんな「時計じかけのオレンジ」になっていたのだろうか。
僕が一番映画を観ていた時代は80年代から90年代。
(今年という話もありますが)
音楽を聞くだけで作品が分かる映画がこんなにも多いとは・・・。
過去観た作品を違う視点で愉しむのもいいかもしれない。
調べてみたらAmazonmusicでも聴けるし、感傷的になってみるかな。
今年に入ってわずか1ヶ月半だが、上映時間3時間級の作品が多い。
今年の傾向だったりして・・・。
じっくりと映画に時間を割く。
最高に贅沢な時間を味わう。
「映画が恋した音楽家」
まさにその通りでいいタイトル。
こんな贅沢を多くの人に味わってもらいたい。