「こういった書籍がファミリービジネスのイメージを悪くするんだろうなあ~」
読み終えてつくづく感じた。
それは本書を非難しているのではない。

その事実は事実として受け止め、現状の問題をあからさまにしなくてはならない。
そうすることで少しは同族内のゴタゴタが改善するのだと思う。
この類と同等に「世襲と経営」のような魅力を伝える書籍が話題になれば、
イメージに左右されることは減る。

本書は8社(厳密には9社)のお家事情が描かれている。
当然だがノンフィクション。
取材や膨大な資料を基に著されているので誤りはないはず。
誇張した表現はあるが、それは少しでも辛辣な事実を伝えるための手段。

登場するのは僕もちょくちょく話題にした大塚家具をはじめ名のある企業。
ロッテ、セイコー、ソニーなど業界トップ企業も多い。
あまり表ざたにはならないが、目立たないところで一族間の衝突が起きる。

ほとんどは権力と財産に関すること。
怪しげな会社に大金を騙し取られるケースも多い。
いわゆる「M資金」。
客観的に冷静に判断すれば分かりそうだが、
当事者になると一点しか見えなくなってしまうのか・・・。

欲がなければ事業を成功させることはできないが、その欲は収まることはない。
原動力になるのは間違いない。
僕のような小市民は一定のところで満足してしまうから、
大きな成功を収めることはできない。
その点、大きな違いがあるが、その分、大きく間違えることもない。
どっちがいいのかな(汗)。

英才教育を受けた親子でもいがみ合いは起きる。
二代目や三代目はどんなに頑張っても創業者にはなれない。
やはりジェノグラムで関係性を明確にするのも大切だね・・・。

描かれるのはマスコミを取り上げるようなスキャンダラスな側面。
これは氷山の一角。
この規模ではないにせよ、同じようなゴタゴタはあちこちに存在する。
簡単にお金で解決できないので、却って後を引きずるのかもしれない。
その臭いを嗅ぎつけてニコニコとやってくる連中もいるだろうし。

久々にドラマ「ハゲタカ」を思い出してしまった。

世の中は金だ。
金が悲劇を生む。

気をつけないといけない。
いい勉強になりました。