フィンランド映画って、初めて観たんじゃないかな。
本作はフィンランド・ロシア・エストニア・ドイツ合作だが、監督も主役もフィンランド人。
フィンランド作品といって問題ないだろう。

フィンランドから何をイメージできるか。
なかなか難しい。
サウナくらいしか思いつかない。
もしくは今はロシアが隣で緊張を強いられると思うくらい。
教養のなさが出てしまうな(汗)。

本作は女子学生がフィンランドからロシアへ寝台列車で向かう一人旅を描く。
明らかに時代が古いので、鑑賞後、時代背景を確認したら90年代半ば。
僕は80年代?と思いながら観ていたが、
セリフの中で映画タイタニックの話題が出たので、それで90年代と認識。

それにしてはかなり時代遅れ感を感じさせた。
当時の北欧やロシアはそれが普通か。
車はオンボロだし、列車の車掌らのサービスはすこぶる悪い。
そんな時代。

映画では女子学生が旅行を通し、自分を見つめ直し、人との出会いにより価値観が変化していく。
時代もちょうど移り変わる頃。
少しずつ解き放たれていく。
旅は人を成長させる。

映画を観て思い出した。
僕の場合は80年代後半だが、大学4年の冬に2週間ほど一人旅にでた。
青春18きっぷを購入し、鈍行列車で北海道まで向かった。
東京や北海道に下宿する友人のアパートの転がり込む日も送ったが、基本は一人で過ごした。

携帯もネットもない時代。
連絡手段は公衆電話しかなかった。
当時の彼女は恋愛禁止の家庭。
内緒で付き合っていたので、電話もできず。
確か手紙を書いていたんじゃないのかな。

そう思うと90年代のロシアと80年代の日本は近いのかも・・・。
泊まる場所もなく、交番で安いホテルを聞いた覚えも。
まあ、僕もそんな経験で少しは価値観が形成されていったのかな。

本作は寝台列車を通したロードムービー。
とても暗かった女子学生の表情が次第に明るくなっていく。
やはり旅に出ろということか。
本作を観て、一人でぼんやりと旅行がしたくなった。

地味な作品だが、映画館は混んでいた。
2021年カンヌ国際映画祭のコンペティション部グランプリ受賞の影響もあるだろうが、
みんな僕と同じで一人旅を求めているわけね。
そんなことを感じた映画だった。