プロフェッショナルの働き方 (PHPビジネス新書) (2012/01/19) 高橋 俊介 |
高橋俊介氏の著書はこれまで何冊か読んできたし、講演も伺ったことはある。キャリアに対しての基本的な考え方は変わらないのだろうが、働き方の多様化や求められる人物像の変化に伴い、微妙にメッセージも変わってきているような気がする。あくまでも主観で・・・。
本書では、序章で
「職業経験もない状態で、自分のやりたいことなどわかるはずがありません。それに、キャリアというのは目標を定め、そこから逆算して最短距離を行こうと思っても、決してうまくいくものではないのです。」
とバッサリ。
また、文中にも
「日本国憲法に、国民の三大義務のひとつとして定められていることからもわかるように、勤労というのはその能力を持ったすべての成人に課せられた社会的な役割であり、責任なのです。
だからまず、その役割と責任を果たすのが先であって、自分がやりたいとかやりたくないとかを優先させるというのは、大いなる勘違いと言わざるを得ません。」
と厳しい言葉も。
就職活動を始める学生に啓蒙する「やりたい仕事を見つけること」を完全否定していると言える。
僕もやりたい仕事なんて幻想に過ぎないと思っていることもあり、高橋氏の言葉には共感する。
それは自らの半生を語っても言えることだ。自分が就職する段階で、今の主たる業務である採用支援事業をやりたいなんて、これぽっちも思っていなかった。
日々の経験とその中で学んだことが背景にあり、その積み重ねにより今の立場で仕事をしているだけだ。偶然に導かれ、運が良かっただけとも言える。
しかし、ただ風に流されるまま適当に仕事してきたわけではなく、時代に適応しながら、目の前のことに真摯に取り組んできた結果はあるのだろうけど・・・。
自分ではまだプロフェッショナルとは言い切れないと思っているが、歩んできた過程だけを捉えれば認めてもいいのかもしれない。プロフェッショナルとは所詮そんなもんだと・・・。
プロフェッショナルという言葉は、いかにもハードルが高く厳しいことと捉えがちだが、決してそうではないと教えてくれるのも本書。どう行動をすべきか、今、何をしなければならないのかを考えてもらうことに主眼を置いている。ヒントはあるが、明確な回答はない。それで十分。
僕としては、大学生あたりの読んでもらいたいが、却って悩んでしまうかもしれない。背骨を作ることが重要だと言っても・・・。
しかし、背骨があるとないとでは随分、人生は変わるのだろう。