先週、参加した「大学と企業との就職研究会」の話。
東海地区の大学のキャリア担当者と企業の人事担当者との交流会が某大学で行われ、僕も大学担当の名大社女子と出席。
午後1時にスタートした会は基調講演から懇親会までたっぷりと7時間。半日以上に亘りいくつかのテーマで繰り広げられたのだが、僕が最も印象に残り、なおかつ大きな学びとなったのは分科会。
大学、企業といくつかのグループに分かれ、各々のテーマでディスカッションをするのだ。ここにはほぼ全ての就職情報会社も参加。僕たちはオブザーバー的な役割で、そのディスカッションに出席し意見を交わすことになったのだ。
お互いの自己紹介(大学であれば内定率等の学生状況、企業であれば内定数等の採用状況)の後、いくつかのテーマから自分たちが議論したいテーマを選択し発表する。
大学のキャリア担当の方の多数が「就職活動に取り組めない学生支援」を選んだのに対し、企業側は「倫理憲章」や「内定辞退」と全く別のテーマを選択。これだけでも大学側と企業側の温度差ははっきりしたのだが、ある企業側の担当者が「就職に取り組めない学生を必要とする企業はない。」とバッサリ。
それは大学に対しての批判ではなく、あくまでも会社経営を前提にした率直な意見。この意見に対して大学、企業がギクシャクした関係に陥るのではなく、お互いが本音で議論できる空気が生まれた。
建前ではないお互いの気持ちをぶつける雰囲気が教室内を包み、前向きな議論が広げられることになった。そのテーマについては根が深い問題で、その場で簡単に解決できる内容ではない。
しかし、お互いの問題意識や危機感をぶつけ合う事で大学と企業の距離感が一気に短くなり、これまで反対側に対峙していた存在が隣の席に座り理解が進んだように感じた。別の議論に対しても・・・。
学生と企業も同様で、昨今の内定辞退の多さから証明されるように、お互いの距離感はかなり遠い。
難しい問題であるのは間違いないが、お互いが信頼し合い、腹を割って話し合える環境を作れば、今の問題もある程度は解決できる。
距離感自体に問題があるように思われる。その事が今回の議論でよりクローズアップされたし、その中でかすかではあるが解決の糸口も見えた。
僕はあくまでも中立的な立場で、上述したような内容を素直に発言させてもらった。参加されたメンバーがどう感じ、それを自校や自社に落とし込むかは分からないが、有意義な議論ができたのではないかと思う。
一番苦労されたのはファシリ役を務められたキャリア担当の方だが、その方の問題意識を全体に共有させることで、活発な意見交換が出来たのは喜ばしいこと。
参加する前はこの分科会に対して多くの期待はしていなかったが、終わってみればこの日一番の収穫。それは席を同じくした大学、企業の担当者も同じ気持ちではないだろうか。
ほんの少しの前進かもしれない。しかし、このような一歩ずつの行動が、何かと後ろ向きに捉えられる就職活動を前向きで有益な活動へと変えていくのかもしれない。
2012年8月30日