ロスジェネの逆襲 (2012/06/29) 池井戸 潤 |
著者の池井戸潤氏には、「下町ロケット」を読み、はまってしまった。とは言っても、本書が2作目で「オレバブ」シリーズ第3弾だとは全く知らなかったが・・・。
本書の主人公はバブル世代のビジネスマン。
一般的にバブル世代のビジネスマンは、社会の迷惑者的な扱いをされ、会社の足を引っ張る世代として登場するケースが多い。
就職時期に企業側にちやほやされ、入社間もない時期にもダブルのスーツを着たりして、社会に対する認識が甘い。いわゆる「新人類」と言われた世代である。
僕は1989年入社なので、まさにバブル世代。
確かに入社して2~3年で、ろくに仕事もできないくせに、コンパばかりしたてし、ダブルのスーツを身にまとっていた。ごくごくまれにその当時の写真を見るが、恥ずかしくて仕方ない。社会の批判の的になっても当然だったのかもしれない。
しかし、そんな時代が長く続くわけではなく、バブル崩壊後は、相当きつい経験をしていた。僕としては、その段階でバブル世代も2つに別れると思うのだが、それは当事者が勝手に思っていることに過ぎない。世間ではみな同じなのだ。
バブル世代以降が、ロスジェネ世代。これもステレオタイプ的に扱われることが多い。
本書はそのバブル世代とロスジェネ世代の特徴を巧みに引き出し、エンターテイメントに仕上げている。ハゲタカを読んでいる気分で読み進めてしまった。面白かった要因の一つは主人公に対する「共感」だろう。立場も業界も違うが(フィクションだし・・・)、その生き様に共感した点が強い。
本来は1作目から読むべきなのだが、この3作目を読んで過去のシリーズを読んでみるのも、どこかの映画を観ているようでいいかもしれない。
いかん、いかん、あまり小説を読んでいる時間はないというのに・・・。