藤井道人監督による「ヴィレッジ」からの連続作品。
またまたインパクトの強い映画を作ってくれた。
この類の作品を撮る監督は見た目もエグかったりするが、
藤井監督は穏やかで優しそうな雰囲気を持つ監督。
(あくまでも見た目なので実際は分からない)

まだまだ若いのでこれからの日本映画を背負ってくれるはず。
そう期待したいし、それを十分感じさせてくれる作品を連発している。

本作は2014年に公開された韓国映画のリメイク。
中国やフランスでもリメイクされたというし、どこかのタイミングで観たい。
予告編は日本版も韓国版にかなり似ている。
あえてその方向に持っていったのだろう。

本作の予告編も抜群だったので、その段階で観ることを決めた。
そして、その期待は見事に的中。
ずっと追いかけ回された2時間。
とことん「最後まで行く」映画だった。

これは僕の勝手な見方だが、藤井監督作品は
(僕が知る限りでしかない)
いつも問いで映画が終わる。

作品自体に答えはない。
「で、これからどうする?」
そんな感じで終わる作品ばかりだ。

確か「新聞記者」もそうだったし、前作「ヴィレッジ」もそう。
本作に続編があるとは思わないが、その後の展開も気になるところ。

あの2人はどうなっていくのだろうか・・・。
あの2人というのは主役の刑事工藤役の岡田准一とエリート監察官矢崎役の綾野剛。
ネタバレになるので詳細は割愛するが、この2人のスリリングな展開が続く。
それに巻き込まれていく者はどんどん犠牲者になっていく。

これが国を守る連中のやることか!
と冷静に見ればそう思うが、そんなことはどうでもいい。
いつでも自分の権力や金が優先されるのだ。

それにしても綾野剛が不気味。
あの表情もさることながら、ターミネーターばりに強い。
エリート階段を上っていくために相当鍛えていたんだろう。
それが半端ない。
観る者は不思議とそれを期待し、その通りの展開になる。

それを上回るのが柄本明か・・・。
本作でも肝心な役どころだが、この半年の出演作を観ても存在感は強い。
「夜明けまでバス停で」「ある男」「シャイロックの子供たち」
「湯道」「ロストケア」
全く異なる役を見事に演じ、その中でも強烈なインパクトを残す。
日本映画界にとって一番のバイプレーヤー。
一年でどれだけの映画に出演するというのだ。
趣味の世界かもね・・・。

そうそう、書き忘れそうになったが、本作のロケ地は愛知県が多い。
知多半島が中心だが、栄のTV塔も使われている。
生まれ変わったHisaya-odori Parkも映し出される。

あちこちにネタが飛んだが、本作は2023年公開の日本映画では観るべき1本。
心臓の弱い人は観ない方がいいかもしれないけど・・・。