パナソニック・ショック パナソニック・ショック
(2013/02/23)
立石 泰則

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書籍のタイトルから、てっきりここ数年の事業の変遷が書かれているものと勝手に想像していた。それは単に僕の想像に過ぎず、内容としては松下電器の創業から現在の苦戦の実態までを歴代の経営者に照らし合わせながら描いている。
これが主観的な見解ではなく客観的事実とするならば、歴史は現在を写す鏡となるのだろう。
僕らはパナソニックの現状をリーマンショック以降の景気低迷や円高、サムソン等韓国メーカーの台頭が原因だと思い込んでいる面が多い。
しかし、それは上辺の情報をなぞっているだけで、物事の本質を見抜く力が欠けていただけのようだ。著者が語るには、パナソニックの現状はその歩んできた経営の在り方にこそ大きな問題があると指摘している。
「中村・大坪時代とは、簡単に言えば、目的地(ビジョン)を定めず、海図(事業戦略)もコンパス(ロードマップ)も持たずに、荒海(世界市場)へ繰り出した船長(中村・大坪)が大型船(松下電器)を迷路に連れ出し放置した時代に他ならない。」と痛烈に批判している。
以前読んだ「さよなら!僕らのソニー」でも当時の経営者ストリンガー氏を完全否定していたのと同様に、何の遠慮もなくバッサリと切り捨てている。
僕の記憶では、中村邦夫氏は「聖域なき構造改革」の先駆者として注目を集めた経営者であったように思う。しかし、実態は自分の意に沿わない社員は排除して、周りはイエスマンばかりとなり、その事業戦略にブレーキをかけるものが者がいなかったため、今日の凋落を招いたようだ。恐ろしい話だ。
僕は大して実力もなくワンマンになるほどのカリスマ性を持たないので、そんな心配はする必要はないのかもしれないが、とんだ勘違いをしないとも限らない(笑)。人間なんて愚かな動物だろうから、見誤ることもあるだろうし・・・。常に自分を客観視することは重要。
企業の規模に限らず経営者というのは自分の功績を残したいと思うのものだ。それは過去から培ってきた理念や文化、教えを時には否定してでも、その足跡に自らを落とし込んでしまう。短期的なビジョンの中でベストな判断だと思い込みながら・・・。
注意しなければならない。本書を読み終え、反面教師として捉える重要性を感じた。
本書のカバーを外すと創業者 松下幸之助が睨みを利かす。
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常に見られていることを意識せねばならない。
パナソニックの経営者であっても、僕であっても・・・。