昨年、公開され気になっていたが、見逃した作品。
最近になってAmazonプライムで鑑賞。
映画館で観るにはちょっと勿体ないと感じた。

上映時間は52分。
リリーフランキーの一人芝居なので、コスパとしてはよくない。
そんなことをほざく段階で上級の映画コラムニストにはなれない。
考え方がセコいね。
いいんだ、目指すは「酒を語れる映画コラムニスト」だから・・・。

公開から期間が経った作品なので、ある程度のネタバレも構わない。
本作は家族と別れた独り者の一晩を描く。
タイトル通り、カレーができるまでのわずかな時間。
ラジオを通してコミュニケーションを図り、やるせない時間を価値ある時間にしていく。

シンプルにいえばそれだけのストーリー。
本当に登場するのはリリーフランキーだけで、あとはラジオと電話の声のみ。
それも古びたアパートの一室しかほぼ映ってこない。

製作費は安く撮影日も限定的。
それが映画館では勿体ないといった情けない理由でもあるが、
見方を変えればそれでけで一本の映画を仕上げてしまう力量もあるということ。
本作のプロデュースは斎藤工で何かしら訴えたかったのだろう。

僕はリリーフランキーというアーティストは凄い才能の持ち主だと思っている。
イラストレーターやデザイナーからスタートして、ここまで幅が広げられる人はそうそういない。
役者としても個性発揮しまくりじゃないか。

大河ドラマ「どうする家康」の久松長家役も頼りなくて良かったし、映画での変態ぶりはさすが。
「凶悪」で演じた先生役も「凪待ち」の同僚役も腹が立つほど素晴らしかった。
他にも有名な作品は数多いが特に印象に残っているのがこの2本。

今や柄本明と同じで映画界には欠かせないバイプレーヤー。
エロい話を平然と語るのもいい。
きっと怖いものなんてないんだろうね。
と思ってしまう。

本作でも寂れた父親役を見事に演じている。
人は一人では生きていけない。
でも、一人にならざるを得ない理由もある。
酒に逃げるか、過去の思い出に浸るか、
生きる目的を探すのが難しい。

そんな時を救ってくれるのがカレーライスの存在。
僕も美味いカレーを作ってみようかな。
寂しくも切なくもないけど、
一人ぼっちにならないためにも・・・。