昨年6月に公開された作品だが、見逃したためAmazonプライムで鑑賞。
この類の作品も観るといつも辛くなる。
育った環境がどこまでも影響し、不幸は不幸を招いてしまう。
親が暴力をふるえば子も暴力をふるう。
親が子供に冷たければ、その子供は親になっても冷たくしかできない。
何度もそんな場面は見てきた。
幸い身近にはいないので、こういった映画やニュースでしか知らないが・・・。
反面教師的に立て直すのは少ない例なんだろう。
つくづく親の責任を感じさせる。
もうネタバレでも構わないと思うが、
本作は水道局員の岩切(生田斗真)が停水を執行された家庭との交流を描く。
原作は1990年に発表されたのでバブル崩壊前。
原作者の河林満氏はすでに亡くなっている。
どこまで原作に忠実か分からないが、当時より今は深刻な問題だと思う。
不変なのはいつの時代も家庭や子供を放り出す親がいるということ。
見捨てられた子供がいるということ。
悲しいかな、それは昭和でも平成でも令和でも変わらない。
連絡手段がスマホになっているだけ。
誰かを救えとか、みんなのために動け、と言っているわけじゃない。
自分の周りだけ何とかしなさいと言っても、どの時代もそうはならない。
心の渇きを水に例えているのは絶妙だが、結局、のどが渇いた状態が続けば心も渇いていく。
繋がっているんだ・・・。
映画は絶望で終わることなく希望が見えてくるのが救いだが、根本的な解決にはなっていない。
母親(門脇麦)の気持ちは分からなくはないが、最終的な行為は許せない。
匂いなんて関係ない。
そう思う僕は間違っているのか?
彼女の実際の気持ちなんて本当は分かっていない。
そんな環境とは無縁なので無責任に正論をかざしているだけ。
だから根本的解決は程遠い。
途中で出てくるお節介なおばさん(柴田理恵)とあまり変わらなかったりして・・・。
それにしてもここにも登場するのが磯村勇斗。
昨年は大車輪の活躍。
案の定、キネマ旬報ベストテンでも助演男優賞を受賞した。
ドラマ「不適切にもほどがある」でも好演。
そして、注目すべきが姉役の山崎七海。
彼女の冷めた表情や優しい表情が映画の重さを担っている。
親から誘うのではなく、子供から誘ってくる環境が健全なんだろうね。
そう思うとエラそうに書いている僕もまだまだみたい。
頑張らねば・・・。
僕の周りでは評価の高い作品だった。