経営センスの論理 (新潮新書) (2013/04/17) 楠木 建 |
前作「ストーリーとしての競争戦略」を読もうと思っているうちに機会を逸して、ここまできてしまった。タイミングを逃すと中々読めないものである。
最近、発売されたのが本書。新書という手軽さもあり、何のためらいもなく手に取った。きっと「ストーリーとしての競争戦略」はその値段とボリュームに腰が引けてたのかもしれない。タイミングを逃したなんて、都合のいい言い訳に過ぎない(笑)。
本書を読んでも経営のセンスが磨かれるわけではない。「スキル」よりも「センス」が大事だと言ってるだけで、そのノウハウが書かれているわけでもない。それでいい。ノウハウを学んでもセンスとは別次元であり、真逆の方向しかいかないだろう。それを理解できただけでもよしとすべきなのだ。
これまで戦略の基本としてフレームワークなどはケーススタディを通して学んできた。これが万能ではないが、新しく物事を考えるに5Fや4Pは整理するのに役立つのは事実で、今も有効なツールである。
しかし、それは一定のスキルで誰でも取り組めるので、差別化には程遠い。失敗をしないためのツールで成功に導くわけではない。成功に導くには行動力や論理的思考力、リーダーシップは必要だが、センスが最も重要なのかもしれない。
このセンスは目に見えない、文字にもしづらいため、あるなしの区分けは難しい。判断基準も人により異なる。センスが悪い人はセンスの悪い人をセンスがいいと判断するだろうし・・・。(なんのこっちゃ)。
本書では就職活動における企業選びを例に面白い表現もしている。
僕も講演の場でよく話をする就職人気企業ランキングの例えだ。まだ働いたことがない学生が人気企業を選び、ベストテンが公開される。これについて異議を唱えたりするのだが、著者は分かりやすい言い回しでそれを表現された。
就職人気ランキングとは「ラーメンを食べたことのない人によるラーメン店ランキング」と。これは分かりやすい。次回の講演で使わせていただきます(笑)。
センスというと何となく感覚的な要素と捉えられがちだがそうではない。具体的と抽象的と両面で考える。それも論理的に考えることでセンスは養われる。軽はずみに「センスあるねえ~」なんて使ってはいけないのだ。
本書を読むだけでは分かったような分からないような感じ。やっぱり「ストーリーとしての競争戦略」を読む必要があるな。と言ってる時点で、センスはないのだろう。
う~ん、残念・・・(涙)。