ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書) (2013/06/18) 円谷 英明 |
息子が幼少のころ、「ウルトラマンネクサス」が放映されていた。主人公はウルトラマンとは別人物で、ストーリーは難解。そして暗くて重い。ほとんど理解できていないと思う。
それでもウルトラマン。ソフト人形や変身グッズを買わされることは多かった。
同時にせっせと過去のウルトラマンシリーズのビデオを借り(その当時はDVDよりもビデオ中心)、何度も何度も見ていた。どちらかと言えば仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズよりもハマっていたような記憶だ。それだけ魅力的なキャラクターで子供たちを惹きつける何かがあった。
これはうちの息子が特別ではなく、同じような子供は多かっただろう。今でもリアルに放映されていれば、一定のファンを掴むことができ、親たちは感傷的になりながら、ついキャラクターグッズを買ってしまうのではないだろうか。僕もその一人だったし・・・。
著者の見方が感情的で偏っていないとすれば、円谷プロから創業家が追放されたのは当然とも思える。公私混同で会社を動かし、冷静な組織作りができないなら、いずれ会社は破たんに向かう。
いくら価値の高い財産を所有しようとも結局は資産価値を失くし、せっかく築きあげた歴史も伝統も文化も崩してしまう。
しかし、当事者が会社を破滅の道に向かわせようという想いはゼロで、会社を発展の道に乗せ、名声を得たいと思っているのは間違いない。
本書を読みながら、悲しい気持ちになっていくと同時に、僕自身が絶対に避けなければならない行動を改めて認識させられた。自分が可愛いという気持ちは理解できるけど・・・(苦笑)。
それにしても驚いたのが、その収益体制。ドラマ一本それも30分の番組にこれだけの製作費が掛かるとは思ってもみなかった。ちょっと考えれば分かりそうなことだが、そこまで多額な製作費は想像できない。
会社としては相当にリスク。アハハ、アハハのバラエティ番組がいかに多いかも納得できる話。
映画であればスケール感を意識し鑑賞することはあっても、テレビ番組の場合、どうしても軽んじてしまう。もっと高い視点でテレビも見なきゃいけない(ちょっと表現が誤ってるな・・・笑)。
円谷プロのHPをチェックしてみるとトップページに登場するのはウルトラマン。いつまでも看板。しかし、会社概要の役員の名前に円谷家の名前は一人もない。それが実態。
一昨日、ひっそりとウルトラマンランドも閉園された。そのリリースは余程探さないと出てこない。
少し寂しい気持ちになった。