ポスターに書かれたキャッチコピー「半地下はまだマシ」。
半地下とは4年前に公開の「パラサイト 半地下の家族」を指すだろう。
その生活がまだマシというのは韓国はどれだけ負を抱えた国なのか。
最近、目にする韓国内の報道も暗いニュースが多い。
日本の出生率なんて比較にならないほど低い。
そんなに将来に希望が持てないというのか。
低所得層がビニールハウスで暮らす実態はあるという。
そこまで貧富の差が広がっている事実を映画は教えてくれる。
原題は「Greenhouse」で日本語訳は「温室」。
そのままだと実態が伝わらないのか・・・。
1月に観た「コンクリート・ユートピア」も恐ろしい作品だったが、リアルさでは本作が上回る。
現実問題としてあり得る世界。
いや、実際はここに至ることはないが(ないと思いたい)、
近い世界があるのかもしれない。
本作には一人として幸せな人物は登場しない。
すべて何かを背負い不幸に向かって生きている。
幸せを掴むには誰かの犠牲の上に乗るしかない。
それがとても辛く悲しい。
これを隣国の作品と対岸の火事として観るのは危うい。
同じような出来事が日本でも描かれる可能性は少なくない。
自分事として観る必要はあるかもね・・・。
エンターテインメント作品が目立つ韓国映画だが、時々、強烈な社会派ドラマを送り込む。
嬉しくはないが、こういた社会問題を提示してくれるのはありがたい。
孤独や介護、貧困問題は日本でも同じだし、
僕の20年後がこの舞台にならないとも限らない。
重くて辛いが、観ておきたい。
万人にはおススメしないが、社会派ドラマが好きな方は観た方がいい。
それ以外のおススメポイントは主演のキム・ソヒョン。
自虐的で不幸な母親で暗い表情ばかりが目立つが、時折、美しく映し出される。
全く知らなかったが、とてもタイプの女優さん。
韓国って、奇麗な女優さんて多いよね。
他の作品も観たくなってしまった。
すみません、個人的な嗜好で・・・。
本作を観た方で語り合いたいのがラストシーン。
ハッピーエンドと捉えるか、最悪の結末と捉えるか。
ぜひ、語り合いましょう。