gureed
情けない話だが、本書を読む前に僕はこのグリードという意味を知らなかった。Greedは「強欲」とか「欲」と訳される。
タイトル通り、強欲者のストーリー。小説としての面白さは抜群だが、その強欲さが露呈される度にうんざりしてしまう。フィクションの世界ではあるが、現実の世界も似たり寄ったりではないかと錯覚する。いや錯覚ではなく、実際そうだったと思うのだ。
舞台は2008年のアメリカ。リーマンショック前後を背景に書かれている。半分は真実、半分は架空のストーリーで鷲津政彦率いるサムライキャピタルはアメリカの強欲者を混乱に落とし込んでいく。
先日の映画ハゲタカ鑑賞会の席でも、このグリード=強欲という言葉は話題になっていた。映画「ウォール街」では、Greed is good(欲は善)というセリフがあり、金融ビジネスでは当然の考えと・・・。
これと全く同じセリフが本書の中でも何度も目に飛び込んでくる。きっと原作者の真山氏が意図的に書いたのではと想像してしまうが、それがアメリカの象徴なんだろう。
僕のような貧乏経営者(単に能力がないという話ですが・・・)は、年収何十億を稼ぐ社員がゴロゴロいる会社に疑問を抱く。法を犯していないとはいえ、それが全うなビジネスなのかと疑ってしまうのだ。稼ぐことは重要だが、その利益の源泉はどこにあるかと考えると不思議でたまらない。弱者の遠吠えかなあ~(笑)。
小説の世界が勧善懲悪とはいわないが、僕と同じような悶々とした気持ちを抱く者にとって本書はスッキリする。描く世界がとてつもなくデカくなっていく気はするけど・・・。この続編は一体どこへ向かうのだろうか(笑)。
本書では珍しく新聞記者からの目線からもストーリーが進んでいく。新聞社内での葛藤も描かれている。僕はこれを真山氏の新聞記者時代ことが書かれているのではと勝手に決めつけてしまった。そういった視点で読むのも面白いかも・・・。
真山氏といえば、年明け1月24日に東京グロービスのセミナーに登壇される。
「なぜ、ハゲタカ鑑賞会を行った名古屋じゃないんだ!!」という少数派の意見は無視されるとして、とても魅力的な企画。グリードを持参してサインをしてもらいたいが、そこまで調整するのは難しいかな・・・。
いつものように書評じゃないまま終わってしまい、どんな点が面白いのかさっぱりわからないが、すこしでも気になった方は読んでもらいたい(笑)。