本年度のアカデミー賞の主要部門を独占した話題作。
何も考えずに映画館に足を運べばいいが、そうはいかない。
180分の超大作であり、難解作品の多いクリストファー・ノーラン監督。
気軽な気持ちで行くときっと後悔する。

素直な感想でいえば、予習は怠らない方がいい。
解説やあらすじを叩き込んで臨んだ方がいい。
僕は事前情報を頭に入れずに臨んだが、少し後悔。

僕の理解力もあるが、登場人物の関係性や会話の内容は余程の集中力がないとついていけない。
もしくは2回、3回、観るつもりでまずは慣らしで初回を観るのはOKだけど・・・。
クリストファー・ノーラン監督作品を制覇しているわけではないが、
やはり彼らしさが出ているのではないか。

オッペンハイマーの頭の中も気になるが、
クリストファー・ノーランの頭の中はもっと気になる。
一体どんな思考で映画製作をするのか。
脚本も演出もオーソドックスさの欠片もなく、全てがチャレンジに思える。

それが無謀ではなく巧みに計算されたチャレンジ。
そうなると観る側にも覚悟が求められる。
映画を観るのに覚悟がいるなんておかしな話だが、そんなことを思う。
3時間呼吸を止めずに向き合う覚悟を持ってもらいたい(笑)。

ストーリーとは関係ない話ばかりしてしまった。
本作は「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを描いた歴史映画。
抜群の頭脳を持ち合わせた天才。
彼の導き出す理論を僕のような素人は100%理解できないが、それは他の人も同様。

その頭脳も持って核開発に突き進む。
自分の専門分野の研究没頭するだけないいいが、
そんなはずもなく戦時中のアメリカ政府に利用される。
当然のように葛藤と戦いながら開発を行う。

真面目一辺倒かといえばそうでもない。
だらしのない男の姿を晒したりとある意味、健全。
スケベはスケベだ。
表現がよくないな(笑)。

人間らしい点でもあるが、その人間らしさがオッペンハイマーを苦しめる。
それがアメリカが歩んできた紛れもない真実。
彼らの正義は日本にとっての最悪な出来事。
その描き方に賛否両論はあるようだが、これもまた今の状況を表す姿。
そのあたりも含め観てもらうのがいい。

本作は時間が許せばもう一度観たい。
名作「ダークナイト」も2回目の方が良かった。
理解度も進むだろうし、クリストファー・ノーランの頭の中も少しは理解できるかもしれない。