映画評論家の肩書を持つ著者からすれば、
僕のようにブログでデタラメな映評をする存在は許せないだろう(苦笑)。
作品をメッタ切りにするわけではないので、それほど怒られることはないだろうが、
にわか映画ファンの存在は厄介なのかもしれない。
決して映画の価値を下げたいわけではないので、許して頂きたい。
本書は映画が活動写真と呼ばれていた1900年前後から現在までの栄枯盛衰の歴史を詳細に著している。
普段、ビジネス書ばかり読んでいるとまずお目にかかれない抒情的とか、耽美主義とか、
ヌーベルバーグとか、そんな言葉がふんだんに登場する。
たまにはそんな文字も読まないと偏った人になってしまう点からすれば、
こういった書籍を読むことも必要。
むしろ日本映画ファンとしては知っておきたい情報が満載だ。
懐かしい映画監督も数多く登場し、やみくもに観ていた学生時代を思い出させてくれた。
僕が大学時代の1980年代は日本映画の低迷期。
その当時はそんな意識もなく、公開されていた数多くの作品も観たが、
同時に名画座あたりで小津安二郎や溝口健二あたりもカッコつけて観ていた。
「このローアングルがいい」なんて言いながらも、本当は理解していなかったと思う(笑)。
きっと今観れば別の視点で感じるだろうが、青臭い学生時代は観ることに満足していたんだな。
本書では僕が知識として持ち合わせていない歴史が時代ごとに解説されており、まさに教科書的な存在。
時代のトレンドを学ぶ上でも大いに参考になった。
流行ろうがそうでなかろうが製作される映画は常に時代を描いている。
50年前に評価されなかった映画が今、絶賛されたり、
30年前に大ヒットした映画が見向きもされなかったりと評価自体も時代と共に移り変わるようだ。
名監督を否定して新たなスタイルを築いた監督がまた名監督と呼ばれたり・・・。
不変である作品も多いようだけど。
そういえば老後の楽しみとしてVHSで録画していた映画はどこへいってしまったのだろう。
ビデオテープがあってもビデオデッキはない。
フィルムが残っていても、そのうちフィルムを流す映写機は消えてしまうのだろう。
ノスタルジックになるわけではないが、日本映画も変貌を重ねていく。
いつの時代も楽しみにはしていたいけど・・・。