舟を編む 通常版 [DVD] 舟を編む 通常版 [DVD]
(2013/11/08)
松田龍平、宮崎あおい 他

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映画を観終わって単純に疑問に思った。「舟を編む」ってどんな意味だろう?って。
調べてみると「様々な文章を集めて書物を作る、編集する。」がその意味。全く知らなかったし、映画が評判になっても調べないまま。今、ようやく意味を知っただけだ。
とてもじゃないが、主役の松田龍平にはなれない。疑問に思ったことはすぐに調べる。これが編集者の基本だろう。
映画を観る前は、松田龍平と宮崎あおいのラブストーリーを描いた映画だろうと思っていた。それはとんでもない誤解。
しかし、一体どんなジャンルになるのだろう。青春映画、人間ドラマ、ビジネス映画、エンターテイメントと、どのジャンルに分けていいのか分からない。地味な主人公が映画を引っぱり派手なアクションがあるわけではないが、僕はエンターテイメントと言われても十分納得する。それだけスリリングで感動あり笑いありの優れた映画であった。
テーマがテーマだけに展開は地味。実際の辞書を作る作業をこの映画のように行っているか分からないが、仮に同じだとすると辞書の扱い方も変わってくる。
普段何気なく使用する辞書(と言っても最近はすぐネットで調べちゃうけど・・・)をもっとありがたい存在として取り扱わなければならない。
その膨大な調査量、緻密さを求められる業務。それも機械に頼るのではなく人の手作業が中心の仕事。今どき、一つの仕事を仕上げるのに15年の期間を要するのはあり得ない。朝令暮改当たり前、5年先すら見えない環境の中でその仕事を続けるモチベーションは一体何なのだろう。
それを考えながら観るだけで、感動的なシーンが湧き上がってくる。
そして主役だ。これまで僕は松田龍平をあまり上手い役者だとは思っていなかった。弟の方がイケメンだし、個性的だが演技の幅が一定レベルのような気がしていた。しかし、それは大変失礼な見方。役柄に上手くはまっており、真面目なオタクを演じ切っていた。ハゲタカ、探偵はBARにいる、麦子さんと等、いくつかの作品は観たが、同じような役柄は一つもない。その中でもこの映画における存在感は際立っていた。
評価の高さを耳にしてDVDで観た本作であるが、本来であればレイトショーの映画館で静かにまったりと観るのが相応しいだろう。