予備知識はなくタイミングがあったので選んだ一本。
何気なくレビューを読むと難解なストーリーのため、予習をした方がいいと書かれていた。
前回ブログで書いた内容でいえば前者。

気づいたのは上映の1時間前。
そこから上海事変を調べ、事前情報を頭に入れた。
本当はそれよりもっと広義な情報を入れておいた方がいい。

第二次世界大戦前後の日本の状況、中国や諸外国との関係性、それは知っておいた方がいい。
ただ即席で頭に入れる必要はなかったかもしれない。
歴史認識を持っていれば対応できる作品。

但し、裏切りの連続というか、
本当はどこの味方でどこのスパイかこんがらがるので相関図があると嬉しい。
そんなことを思ってしまった(笑)。

本作は1940年代の上海における日本軍、中国共産党、中国国民党の駆け引きを描く。
あたかもノンフィクションのよう。
実際の状況もそれに近いかもしれない。
首謀者は味方は敵か、敵は味方か、探りながら時代と共に駆け巡る。

すべては自分たちの理想を築きあげるため。
その緊張感がハンパなく、当時を再現させた街並みや衣装が臨場感を高める。
20年前なら香港映画として独特な雰囲気を作っただろうが、今は中国作品としてその世界を醸し出す。
中国作品の匂いはしないが、いい継承ができているのかも・・・。

韓国映画として制作されたなら、もっと過激でどんでん返しな作品なんだろう。
ぐっと抑えた演出がハードボイルドな要素を残している。

第二次世界大戦なので中国から見た日本も描かれる。
もっと否定的な視点があると思ったが、そうでもなかった。
冷静な捉え方。
日本語のイントネーションに違和感を感じたが許せる範囲。
そんな意味でも楽しめた。

本作はトニー・レオンが主役。
その方が日本では受け入れやすい。
実際はワン・イーボーの方が存在感はあり主役として相応しい。
僕が知らないだけだが、これから日本でも人気が出るんじゃないかな。

2023年の中国の金鶏賞では主要な賞を獲得。
クールな作品として日本でもファンが増えるかもね。