これは映画か、ドキュメンタリーか。
観ながら迷う。
これは演出なのか、リアルを描いているのか。
観ながら悩む。
実際に起きている問題を真正面から捉えているのはよく分かる。
そして胸が締め付けられる。
「マリウポリの20日間」も気になったが、今回は本作を選択。
描かれる世界は近しい。
「マリウポリの20日間」はロシアによるウクライナ侵攻から
マリウポリ壊滅までの20日間を記録したドキュメンタリー。
知っておくべき事実だが、日々の報道で近い状況は把握できる。
しかし、本作は知らない世界。
ウクライナの隣国のベラルーシとポーランドが舞台。
このあたりの国同士の関係はややこしい。
世界情勢に疎い僕は映画を観て、その辛い事実を知ることとなる。
シリアやアフガンからの難民は
「ベラルーシを経由してポーランドの国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」
という情報が流れているという。
しかし、実際は・・・。
亡命を求めて国を出た家族は想像を絶する世界へ引き込まれる。
亡命なんてしない方がいいのか、
それでも亡命をした方がいいのか。
平和ボケした僕には分からない。
分かることといえば、島国日本がいかに平和かということ。
「退職代行サービス」を使って退職なんて、安定した国だからできる。
明日の生活も予測できない。
生きているのかも分からない。
ベラルーシを追い出されポーランドに送り込まれる。
ポーランドから追い返されベラルーシに戻る。
その繰り返し。
国のトップが現れることはない。
前線に立つ国境警備隊を感情的に黙々と仕事をする。
人への優しさは無用。
自分たちに不利が起きない行動をするだけ。
観ていて辛い。
子供や妊婦にも容赦しない。
それを正そうとする支援活動家。
その力は小さく、権力に押し潰される。
これが国の実情なのか・・・。
こんな作品を観て、いつも感じる。
被害に遭うのは普通の人たち。
幸せを求めるだけで危害を加えることはない。
僕らは日々、いろんなニュースを目にするが、こんな事実は知らない。
どこかの国の大統領だか首相だかの正論を聞かされるだけ。
この作品を観ろよ!と思ってしまう。
何も感じないか(汗)。
今年は愚かな人間の行動を描く辛い作品が多い。
そんな作品から目を背けてはいけない。
それくらいしかできない。
多くの方に観てほしいと思う。