20歳の娘と父親との家族愛を描いたロードムービー。
年頃の娘を持つ身として、惹きつけられつい観てしまった。

映画を観ながら、どうしても自分をダブらせてしまう。
本作のように娘はアルコール依存症ではない。
僕は離婚経験もなく、子供と離れ離れの生活を送ったこともない。

そんな点では180度異なる家族設定。
お互いまっとうな人生を歩んでいる。
しかし、胸に迫るものがあり、自身の行動に反省させられる面は多かった。

娘の立場からすれば父親の存在は大きい。
最も愛情を欲する時期にどこまでそれに答えることができたか。
今、振り返れば僕の愛情は足りなかったのではないだろうか。

そんな会話をしていないので事実は分からない。
本人は十分と感じているかもしれないし、
単純にウザいと思っているだけかもしれない。

何日間も2人きりで車の旅をすればそれは明かされるだろう。
助手席は互いに見つめ合うこともなく、程よい距離感。
本音を語りやすい環境になるのではないだろうか。
関係を修復しようとする父娘を眺めながら、そんなことを感じた。

本作はユアン・マクレガーと実娘のクララ・マクレガーが親子役で共演。
それが理由なのか、とてもリアル。
日常会話も喧嘩も自然。
お互い名前は明かされず、娘はパパといい、父はターボというニックネームで呼ぶ。
2人の関係において名前は必要ない。

本心を明かしたいが素直になれない時間が続くが、
途中で出会うろくでもない人たちによって距離は縮まる。
いかにもロードムービーだ。

「Bleeding Love」というタイトルのみだと濃厚なラブストーリーと勘違いする。
「はじまりの旅」とプラスすることでイメージが広がる。
そして、確かにはじまりの旅。
この父娘にとってこれが始まりといっていいだろう。
ラストシーンが象徴している。

どんな状況でも父親は娘を想い、娘もいざとなれば父親を頼る。
「あんのこと」が辛かった分、本作は救われた。
あれは母親だけど。
親のあり方が子供を幸せにも不幸にもする。

どこまでいっても親の存在は大切。
反省はしていますよ。