「組織の未来はエンゲージメントで決まる」の続編と呼ぶべき一冊。
もう6年も経過しているんだ・・・。
著者の一人松林さんとはかなり長いお付き合い。
グロービスに通っていた時期から含めると18年ほど。
社長時代はずっとサポートしてもらったし、
今も月1回、別のプロジェクトでお世話になっている。
元々はマーケの専門家だが、最近はエンゲージメントをメインとしたオジサンになってしまった(笑)。
本書もエンゲージメントの流れを組む。
タイトルにもある「従業員体験」がエンゲージメントを高める上で重要。
会長になり「組織には口を出さない」といっても、その動向は気になる。
自社は当然ながら、社外取締役の株式会社パフも顧問先もそう。
そのためには最新の動きは知っておかなきゃいけない。
また、大学で教える身としても、若者が働くにあたって何を大切にすべきかか教える必要もある。
そんな点においては大変参考になる書籍。
本書では従業員体験を
「企業や組織に所属する従業員が、仕事や職場において得る経験や感情のこと」
と定義している。
経験は理解できるが感情もそうなのか…と思うかもしれない。
これが意外と厄介。
振り返ってみれば経験以上に感情が与える影響は大きい。
それは上司との関係性もあれば、仕事の出来不出来もいえること。
トップの立場になるといい意味で達観してしまうが、
現場レベルでは揺れ動くのが当たり前。
それをどう対応するかは重要なポイントだろう。
自分ができるから相手ができるわけではない。
自分が満足しているから相手も満足しているわけではない。
わかったつもりで何もわかっていないことは多い。
単純明快な自分たちの世代と今の若者は異なるのが普通。
そこから始めないと何も進めない。
「働きやすさ」と「働きがい」は異なるが、
同じように考えてしまう古い価値観の持ち主も多いだろう。
古屋さんの「ゆるい職場」を思い出してしまった。
スピルオーバー効果とクロスオーバー効果という言葉は初めて知ったが、確かに納得。
組織人としてだけでなく家庭人としても押さえておく必要はある。
健全な組織体を作るのは健全な家庭を作ることにも繋がる(笑)。
1on1のエンプロイジャーニーマップの解説はとても分かりやすい。
いろんなパターンをイメージするだけでも効果は見える。
1on1の実施が目的化するケースが多い現状を見直すにもいい機会。
なんと本書のあとがきには僕の名前も記載されている。
ボーっとしてただけなので何を協力したかは定かでないが、
ちょっとはお役に立てたのかな・・・。
少しでも多くの方に読んでもらいたい。
特に中小企業の経営者や幹部は学ぶ点は多いと思う。