止めておこうかと思いながらも観てしまった。
救いようの世界を見ても自分にプラスになることはない。
気持ちが塞ぐのは観なくても分かっている。
しかし、それを止められない自分がいた。
犯罪組織に巻き込まれ堕ちていく若者を見るのは辛い。
それは日本でも韓国でも同じ。
日本だったら白石和彌監督がどうしようもない社会を描く。
いや、北野武監督か。
暴力や犯罪でのし上がる姿は万国共通。
それには生まれ育った環境や深刻な家庭関係が影響する。
どんな国でもろくでなしの親の存在が子供の将来を危うくする。
今年観た代表的な作品でいえば「あんのこと」。
ろくでなしが子供を不幸にする。
本作も向かう先は異なれど同じだ。
犯罪に手を染める18歳のヨンギュも犠牲者といえよう。
気づいた時にはもう抜け出せない状況。
ガラスに写った血だらけの自分の姿に絶望を感じた。
知ってか知らずか手を差し伸べる兄貴分のチゴン。
そんな地元の犯罪組織のリーダーにヨンギュが頼るのは必然。
このあたりがピリピリとした雰囲気を醸し出し闇の世界へ誘う。
レビューを読むと激しい暴力をウリとする韓国ノワールと表現されるが、僕からすれば人間ドラマ。
底辺から這い上がるとする男たちのやるせない生き様を暴力が代弁している。
「仕方がない」というセリフが頻繁に登場するのが実社会の証明。
今の韓国を実情を上手く表しているのかもしれない。
そう思うと韓国映画の幅広さには改めて感服。
主役はヨンギュ役のホン・サビンとチゴン役のソン・ジュンギ。
チゴンが地元の犯罪組織のリーダーとして周りを仕切っているが、
感情をほとんど出さず淡々と仕事を進めていく。
その姿がとてもクール。
初めてソン・ジュンギという俳優を知ったが、日本でもかなり人気があるのか?
かなりどぎつい作品だが若い女性の一人客が目立った。
多分、彼目当て。
こんな作品を観て、精神的苦痛を感じないだろうか。
とくだらないことを思ってしまった。
このような世界はどんな国でも考えられる。
犠牲となった若者は闇から抜け出せるのか。
ラストシーンは人や国によって解釈は異なるだろうね。
抜け出せることを期待したい。
僕は・・・。