「この本には僕が感じていたことが全部書いてあります。」
と紹介されたのが本書。
懇意にする元経営者が紹介してくれた。
その方は今はフリーランス。

東京で5店舗ほどレストランを経営していたが、昨年に事業を断念された。
彼の考え方や生き方を見る限り見習う点が多い優秀な方。
順調に伸びていた事業もコロナの影響で売上がなくなり、
いろんな策を講じてきたが、結果的には会社を閉じることになった。

言葉には出せない悔しい思いは相当だろう。
同じような経験をされている方は多い。
うちの会社もコロナの影響は大きく受けた。
会社を潰すことはないが、業績は悪化し大赤字も経験。
リーマンショックとは異なる辛さを味わうことにもなった。
自分を犠牲者というつもりはないが、
コロナ禍の社会的対応はいかがかと思う点も多かった。

そんな点でも本書には共感。
紹介してくれた方と同じ思い。

どんな表現が正しいかは分からないが、コロナの対応に関しては僕も加害者の一人かもしれない。
自分かコロナに罹ったという低次元の話ではない。
同調圧力に屈したというか、世の流れにそのまま従ったという点での加害者。

著者のいう「和をもって極端となす」というのが適切な表現。
パニックを鎮静化させるために極端な対策がダラダラと行われた事実。
それに対し疑問を持ちながらも反発する行動は取らなかった。

もちろん会社を守る側として世間から非難を浴びる行動は取らない。
しかし、勇気がないせいで流された。
地味に地道に続けてきた結果、レベル以上の回復もしたので全否定はしないが反省点は多い。
僕の寿命が短くなったのも事実。

今、思うと無責任の集団の力が責任ある者を潰した。
そんなことさえ感じる。
事業を守る、人を守る。
想いのある責任感の強い人がなんとなく正義をかざす無責任な人に叩かれたような・・・。

また、本書で指摘しているのが「気の緩み」。
気の緩みがコロナ感染症を増大させたというは、本当かという疑問。
そもそも「気の緩み」とは何か。

県を跨いで行動することが気の緩みなのか、
たまたまマスクをしていなかったら気の緩みとしてバッシングを受けるのか。
人類学者らしい視点で指摘しその行動を分析されている。

そして、名誉心と虚栄心という言葉で上手くまとめられる。
名誉心を装った虚栄心が生み出す言葉がSNSの時代に大きく影響したと。
なるほど、そんな言葉に僕も少なからず影響を受けていたわけだ。
反省・・・。

少し前に尾身先生の書籍も読んだ。

その苦労も十分理解はできる。

感染症拡大のケースは今後も考えられるだろう。
その時に自分の頭でどう考えることができるか。
今回のコロナをケーススタディとして捉えられるといい。
実際はイヤだけどね。