今年の夏季休暇は9連休。
ほとんど予定がなく、かなりヒマな休暇だった。
あまりの暑さに遠出する気にもなれず。
その分、映画館に通えばよかったが、観たい作品が少ない。
そんな状況なので、思い切って韓国へ。
旅行したわけではなく、集中的に韓国映画。
「韓国映画から見る、激動の韓国近現代史」で紹介され、
気になる作品をAmazonプライムで立て続けに観た。
本書に関しては改めてブログに書きたい。
一昨年あたりから韓国映画を観る機会が増えた。
優秀な作品は多く、切り口は日本映画が学ぶべき。
そして多いのは実話を基にした作品。
もしくは「ファクション」と呼ばれる歴史的事実に想像力によるフィクションを加えた作品。
観た作品を時系列的に並べると韓国の歴史的背景が理解できる。
日本や北朝鮮、アメリカに対してネガティブなニュースも映画を通して納得できたり・・・。
簡単に映画を紹介していこう。
大正時代に実在した無政府主義者朴烈と日本人女性金子文子の関係を描いた社会派ドラマ。
ほぼ実話。
舞台は関東大震災後の東京で、朝鮮人に対しての無差別な虐待を描く。
昨年観た「福田村事件」と同時期で、その酷い行為は明らか。
当時の日本と朝鮮の関係性から日本への批判が鮮明に映る。
そりゃ恨みを持つよね。
舞台は1940年代の日本統治下の朝鮮半島。
朝鮮人の言語を強制的に日本語に変えさせた時期。
母国語を守るために全国の言葉や方言を集め辞典にするための行動を描く。
史実を基に作られたフィクション。
いわゆるファクション。
日本人から見た朝鮮人と朝鮮人から見た日本人が異なるのは当然。
日本語を強要する姿を批判的に映す。
それを天皇が押し進めたとは思わないが、日本の大義はそれ。
この作品を観れば日本に対して恨みを持たないのがおかしい。
感情的な面を除いても、当時の置かれた状況を上手く表現し、母国語の大切さを教えてくれる。
韓国映画らしいラストは社会派ドラマだけでは終わらない。
1953年、停戦協議に入った朝鮮戦争を描く。
停戦協議は2年以上に及び、南北の境界線に立つ兵士は国に不信感を抱きながら戦い続ける。
少しでも多くの領土を奪うことを目的に戦うのだが、
韓国、北朝鮮双方の身勝手さに前線の兵士は疲弊する。
そこにアメリカの圧力が加わって・・・。
表面的にしか知らない朝鮮戦争の実態を知れた。
終盤はかなりショック。
これも実話に近いんじゃないだろうか。
公開当初は見逃した。
こちらも実話。
1980年に起きた光州事件を描く。
恥ずかしながら僕は事件名のみで実態は知らず。
韓国史上最悪の虐殺事件と言われているが、
当時の政権が権力を振りかざした行動は日本では考えられない。
韓国の政権の闇はどこまでも続くがその象徴ともいえそう。
本作は光州事件を報道したドイツ人記者とタクシー運転手の交流を描く感動作だが、
裏側にある痛烈なメッセージを忘れてはいけない。
舞台は2002年~2006年のソウル。
付近を流れる漢江で突如現れる怪物に娘を奪われた父親の死闘を描く。
一般的にはモンスターパニック映画のジャンル。
しかし、そこに留まらない韓国の実情が表現されている。
実話でもファクションでもないが、アメリカの意志に翻弄される姿はリアル。
監督は「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ。
韓国社会を面白おかしく、かつ痛烈な皮肉で魅せることのできる監督。
夏休みはこの5本だが、歴史を追いながら観ることで事実を知れたのは大きい。
それを堂々を撮れる韓国映画界の力強さには唸る。
(規制が激しい時代もあったようだが)
政権ネタ、外交ネタがそれだけ多いというのは辛い歴史でもあるが。
それだけ日本が平和なのか、勇気がないのか。
この違いが実力差に繋がる。
これからも韓国映画から学ぶことは増えそうだ。