どこで見つけたかは忘れたが、気になり購入。
日本で映画研究を続ける韓国人著者が韓国映画についてまとめた。
韓国にとって重要な内容だが、韓国では出版しないのだろうか。
実に勿体ない。

最近、韓国映画を観る機会が増えた。
エンターテイメント性、社会性も日本が見習うべき点は多いと感じるが、
本書を読み、一層その思いは強くなった。

先日のブログ「夏休みは韓国だった」も本書で紹介された作品。
気になる作品をAmazonプライムで5本観たのだが、それでは不十分。
本書には合計44本の韓国映画が紹介されている。

5本以外に僕が観たのは「ミナリ」「KCIA 南山の部長たち」パラサイト 半地下の家族」
「バーニング 劇場版」「はちどり」「息もできない」「ベイビー・ブローカー」
32本は未鑑賞だが、すべて気になる。

単に面白そうというだけではない。
紹介された作品にはこれまで韓国が歩んできた実情が描かれている。
数本、観ただけでも激動の歴史を理解することができたし、
そこから生まれた価値観は到底日本人には理解しがたい。
映画を通して知れるのは貴重。

本書は4章に分かれている。
韓国と日本・アメリカ・北朝鮮
軍事独裁から見る韓国現代史
韓国を分断するものたち
韓国の”今”を考える 

各章に沿った44本になるが、すべて2000年以降の制作。
完全なフィクションは少なく、実話もしくはファクション。
娯楽作品に紛れがちだが、こんな作品を作り続けられるのも韓国映画の強さ。
娯楽の中に強烈な社会性もあるし・・・。

著者は韓国で生まれ育ち徴兵制を経て日本に留学。
その後、非常勤講師として韓国を含む東アジア映画を近代韓国史で教えている。
主観と客観を交え映画を題材に韓国の歴史を説明。
個人的にはとても興味深い書籍。
だからこそ一気に5本の映画を観てしまった。

但し、著者の見方が必ずしも正しいとはいえないと思う。
主観が強い面では必要以上に自国を非難しているのではないか。
大学を卒業しての就職時や徴兵での経験がそうさせているのかもしれない。
そんな感情面を抜きにしても本書は魅力的。

未鑑賞の32本は存在すら知らない作品が多い。
調べてみるとレビューは高かったり。
有料かはともかくほとんどの作品は観ることができる。
とても便利な時代。

映画館ファーストではあるが、時間をみつけては観ていきたい。
映画コラムニストとしても勉強をさせてもらいました。

明日も韓国映画のブログだし(笑)。