シンプルに感動できる作品。
しがない若者が努力を積み重ね栄光を掴むドラマはよく存在する。
シチュエーションにより見せ方が変わるが、感動を呼ぶのは同じ。
似た類の作品は多い。
何が違うかといえば本作は実話を描いていること。
感動を呼び込もうとすれば、
大きな挫折の後により高い目標を成し遂げるドラマを描けば簡単。
さほど難しい作業ではない。
しかし、今や嘘くさい話に気持ちが揺れ動くことは少ない。
騙されなくなったのだ。
それが実話となると一変。
置かれた環境下での苦悩や努力に気持ちを持っていかれる。
人はシンプルな生き物。
そのシンプルさが大切だとも思う。
分かりやすく証明してくれるのが本作じゃないだろうか。
舞台は第2次世界大戦後の韓国。
この状況を描く場合、日本は必要以上に悪者。
まあ、その見方はある意味、モチベーションなので仕方ない。
1947年のボストンマラソンに、
“祖国の記録”を取り戻すために選手団を結成し、立ち向かう。
当時の朝鮮(南北分断前だしね)の置かれた状況や町並、生活を映し出す。
日本よりもアメリカ。
そことの関係性。
当時のアメリカ人は朝鮮がどこに位置するのかさえ知らなかった。
国としての存在も知られていなかった。
もちろん皮肉も入っているだろうが、どん底の状態から這い上がる。
だからこそ感動を生む。
誰が観ても同じ。
しかし、思ったほど日本ではヒットしないのか?
その前に観た「ソウルの春」はほぼ満席。
本作に関してはパラパラの観客。
映画館が違うといっても、
(それに本作を観たのはお値打ちなファーストデー)
これだけ差が出るのか。
ハッピーなドラマよりアンハッピーな方がウケるのか。
そんなことも感じてしまった。
監督は「シュリ」を撮ったカン・ジェギュ氏。
もっと調べた方がいいが、韓国映画が注目され始めたのは2000年公開の「シュリ」からじゃないか。
この作品から韓国映画が力をつけてきたように思える。
こんな作品が僕にも元気を与える。
負けてはいられない。
フルマラソンはもう参加しないつもりだったが、もう一度チャレンジするか。
なんだ、なんだ、感化されているじゃないか(笑)。