本作もご当地映画といっていい。
舞台は近くの三重県桑名市。
僕は近鉄電車で通勤。
主役である梓(黒木華)や恋人の澄人(中村蒼)が乗る電車と同じ名古屋本線。
それだけで親近感が湧く。
かつ、アナウンスで流れる桑名や弥冨は身近な駅。
普段、利用することはないが、いずれも酔って乗り過ごした時に降りた。
自慢するわけではないが、近しい存在なのは理解できるだろう。
どうでもいいか・・・。
本作はてっきり黒木華の泣いた笑ったの人間ドラマと思っていたが、そうではなかった。
いい意味で裏切られた。
僕らは常に「偶然」や「運」、そして「縁」で生きている。
それを大切にすることが自身の生き方にもキャリアにもプラスに働く。
クランボルツ理論は大学の授業でも一番に教えること。
キャリアとは異なるが、本作も「偶然」や「縁」の大切さを教えてくれる。
些細な繋がりが人と人を結び、いいキッカケを与える。
そのキッカケは悲しみを喜びに変える力を持っている。
誰しもが最初に「アイミタガイって何だ?」と疑問が湧く。
僕はおまじないかと思ってしまった。
漢字で書くと「相身互い」。
なんとなく意味が分かる。
そして、映画を観ると明確に意味が分かる。
「相身互い」になればいい循環が回る。
役名を無視して俳優で並べるのであれば、藤間爽子が黒木華を救い、
黒木華は草笛光子を救い、草笛光子は升毅を救い、
升毅は中村蒼を救い、中村蒼は田口トモロヲを救い、
田口トモロヲは松本利夫を救い、松本利夫は西田尚美を救い、
西田尚美は黒木華を救う。
どう?
全く意味は分からないでしょう。
風吹ジュンや安藤玉恵や白鳥玉季も「相身互い」の存在。
まあ、人と人が繋がっていることが理解されればそれでOK。
ちょっとしたシーンで涙を誘うし、ぐっとこみ上げてくるものもある。
日本映画らしい温かい作品、
一年に何本かはこんな作品を観て優しさを保ちたい。
調べてみたら近鉄蟹江駅でもロケをしていた。
こちらは隣駅。
頻繁に乗り過ごす駅。
これだけでも愛着が増す。
もう1回、観てもいい。
それが理由か(笑)