いい意味でテレビドラマの映画化だと思った。
前編である「室井慎次 敗れざる者」は上映時間115分。
本作は117分、合わせて232分。
テレビドラマとすれば1回あたり46分で5話分が構成される。

多分、完全無欠な時間構成。
第1回からスタートし5回で終了する流れは本作でも、ほぼ完ぺき。
ドラマの筋書きというか起承転結は分かりやすく観る方を感動させる。

そんな風に思う。
実際、僕が観た映画館でも結構啜り泣きが聞こえた。
主役室井慎次の立ち振る舞いや子供たちの言動に涙した人は多いと思う。
そんな点でもテレビドラマとしては完璧。

もしかしたらそれでいいのかもしれない。
でも、僕は思ったりもする。
本作は一体どこへ向かうのか。
ラストシーンが一つの答えかもしれないし、フジテレビの新たな戦略かもしれない。

その道筋は不明だが観る側はそれを把握した上で臨んだ方がいい。
もっとドラマを解釈してから、本作に向かわないと失礼だと思ったり。
そうではない僕はより客観的に本作を観たので、感じ方は大きく異なった。

前篇を観て、後編である本作は事件の謎を解く物語であると想像。
きっとそんな人は多いだろう。
それも大きく異なる。
厳密にいえば謎は解かれるが、それよりも違う路線が中心。

室井慎次の生き様がより鮮明にあぶり出される。
もしかしたら観る者を裏切るかもしれない。
その逆で期待以上かもしれない。

巧みな予告編により僕らは事件に巻き込まれていく。
松下洸平演じる警察と絡む予告編はインパクトを残すが、実際にはない。
インチキだと思ったが、これも巧みな演出と捉えるべき。
前編の最後に登場した加藤浩次の描き方もいかがかと思ったが、構成上は正解。
あくまでも映画をより成り立たせるための手法。

多分、本作はヒットし今年の話題作になる。
僕は珍しく「本心」と同日に立て続けに観たが、明らかに観客は多かった。

映画を観ながらずっと感じていたこと。
里親出されたタカ役の齋藤潤。
ずっとどこで見たのかと思っていたが、「カラオケ行こ!」の少年役だった。
これから活躍すると思う。

「踊る大捜査線」シリーズはこれからも続くかもしれない。
次は誰にフォーカスするのだろう。
映画を観れば一目瞭然だったり。