今年は愛知県を舞台にした映画が多い。
本作もそうだが、その中で一番身近に感じた。
愛知県内のいろんな場所でロケは行われているが、多いのは錦三丁目。

いわゆる錦三。
注意深く観ないと見過ごしてしまうが、知っている場所が多いし、
映画を観た当日もその周辺で飲み歩いていた。

酔っ払っているとそうでもないが冷静になるとかなり恐ろしい。
登場する暴力団や犯罪組織が本当にうろちょろしていたら、怖くて逃げ出す。
自分をオーバーラップさせながら観ていたのでリアル感が醸し出された。

冷静に観ると「あの通りからコインランドリーには辿り着かんぞ」とどうでもいいことも。
身近さがあるのかミッドランドスクエアシネマには衣装が展示されていた。

さて本作。
監督の描きたいフレームやカット、セリフ回しがヒシヒシと伝わってきた。
例えは悪いが、自主映画を撮り始めた映画マニアが中身よりも構図ばかり気にする感じ。
作品自体の面白さは当然のこと。
監督の拘りが画として表れていた。
岩屋監督の長編初メガホンというのも納得。
すいません、上から目線で・・・。

本作を簡単に解説すると、
幼なじみの2人が所属する暴力団と犯罪組織での抗争を描く。
人殺しなんて当たり前。

実際、錦三でそんな事件は起きていないが、
(知らないだけかも)
そのエリアで縄張り争いが繰り広げられる。
中心になるのが暴力団側のヒロト(清水尋也)と犯罪組織側の金森(高杉真宙)。
そこに同じ幼なじみの紅花(伊藤万理華)が加わり、とんでもない方向に向かう。

昔、観たことのあるようなストーリー。
ある種の懐かしさを感じながら、目まぐるしい展開に気持ちを合わせる。
3人にとっての「オアシス」ってこんなことか・・・。

今どきの若者はこんなストーリーに共感するのかな。
Z世代研究家として聞いてみたい。

主演の高杉真宙は大河ドラマ「光る君へ」で紫式部の弟役。
軽さの中に優しさがありいい演技だった。
そうそう、今年の大河はこれからの役者が頑張っていたと思う。
彼もそうだが、一条天皇も三条天皇も藤原彰子もとてもよかった。
大河で初めて知った役者だが、これから活躍を楽しみにしたい。

話は逸れたが、時には青春映画と呼ばれるカテゴリーもいい。
最近、韓国映画が多いので迫力不足は感じるが若者の葛藤は上手く表現されていた。

錦三を歩く時は気をつけたいと思うけどね。