若松監督はキョンキョンのことが好きなのか…とくだらないことを考えた。
やたらキョンキョンのアップが多い。
そこには熱い愛が籠っているように思えてならなかった。

彼女は僕と同年の生まれ。
若い頃も今も好きなアイドルだが間もなく59歳。
もうアイドルとは呼ばないか・・・。

さすがに年齢には逆らえない。
アップにすると余計なものまで見えるのは事実。
そのアップが続く。
しかし、有無をいわさず映像が愛に変わる。
そう感じたのは僕だけだろうか。

本作はそこがメインではない。
キョンキョンがキーマンなのは間違いないが、訴えかけたいのは別の世界。
本物を超える贋作。
一体、それはどんな作品なのか。
一枚の絵から消え去った画家の生き様を描くが、その絵に魂が宿る。

ただ僕は正直、よく分からない。
芸術を語る教養がない。
情熱は理解できるが、生き様まで共感するのは難しい。
きっと周りはその才能を理解している。
主役であるモッくんを支える人の姿が証明する。

毎度のことながらなんのこっちゃなので、
軽く説明すると消え去った画家津山竜次がモッくんで昔の彼女がキョンキョン。
キョンキョンの旦那は世界的な画家である田村修三。
それを石坂浩二が演じる。
この関係性が映画にとっては重要。

そこだけ切り取ると愛憎劇と捉えられるがその要素は1mmもない。
葛藤は別の世界。
一枚の贋作から繰り広げられる展開は原作倉本聰ならではの人間模様。
倉本聰ファンは必見かもしれない。

モッくんは刺青師の顔を持つが、そのモデルになるのが菅野恵。
初めて知った女優。
とびきり美人ではないが魅惑的。
妖しげな雰囲気がとてもよかった。

一つだけ違和感に感じたこと。
映画の中でモッくん、石坂浩二、美術館の館長を務める仲村トオルは大学の同級生。
モッくんと仲村トオルは理解できるが、
石坂浩二が同級生なのは普段の活動を知らなくても違和感。
どうみても同級生に見えない。

3人を知らないZ世代が観ても同じことを感じるのでは・・・。
そんな点は勿体ないかな。

モックンが住まいを構えるのは北海道小樽。
歴史的な建物を含め風情を感じる。

35年ぶりに行ってみたい。
会いたい人がいるわけじゃないけどね。