大人の恋愛ものと期待して劇場に足を運んだ。
60歳近い年齢になると子供じみた恋愛ドラマには興味が湧かない。
しかし、大人を感じさせるドラマはまだ欲求があるのか、妙に気になったり・・・。

本作は何度なく予告編を観る度にそんな気持ちにさせられた。
ピュアな心を求めているのか。
そんな意味では僕の期待を裏切らないストーリー。

くたびれた結婚生活の果てに最悪の結果を迎える夫婦は多い。
昔持っていた純粋な気持ちを取り戻すにはうってつけの作品。
危うい夫婦が一緒に観る機会は少ないと思うが、
どちらか観るだけでも一定数の夫婦が救われるのではないか。

映画館には松村北斗ファンらしき若い女性が多かったが、できれば中年夫婦に観て欲しい。
僕は危ういわけでも冷めた関係でもないが、もう少し優しくなろうと強く思った。
映画が持つ副産物。
自分自身、反省する面も多かった。

本作は過去に戻って未来を変えていこうとする行動を描く。
タイムトラベルする過程はやや強引だと思うが許せる範囲。
15年前に戻って全てを変えたいという気持ちがヒシヒシと伝わるから。

タイムトラベルするのが主人公カンナを演じる松たか子。
その夫で15年前の青年駆を演じるのは松村北斗。
松村北斗は昨年のキネマ旬報主演男優賞。
僕も1位に推した「夜明けのすべて」での演技が認められた。
僕はさほど凄い演技とは思わなかったが、本作で素晴らしさを知った。
繊細な表情ができる役者であると。

どうだろう。
松たか子は現在が実物で15年前の彼女はなんらかの手が加わっている。
松村北斗は15年前が実物で現在の彼は老けさせ太らせ手が加わっている。
微妙な腹の出方に好感を持った。
それが普通に年齢を重ねることだ。

一方で15年前の松たか子は随分と可愛らしい。
個人的には「四月物語」の彼女が好きだが、15年前の彼女も負けてはいない。
あれはどう加工?メイク?したのだろうか。
きっと同じことを思っているくだらない輩は多いはず。

いかん、本筋から外れた。
どんな手を打ったとしても自分の未来を変えることはできない。
ただ相手を想う気持ち一つで幸せになるか、ならないかは決めることができる。

今さら、それを学んでも遅いかもしれない。
しかし、未来をこれから作るわけだから、決して遅くはない。
やれることは多いと・・・。

そんなことを感じた作品だった。