「セプテンバー5」に続くテレビ局内を中心としたサスペンス映画。
一日の事件を追いかけているのも同じ。
フィクションかノンフィクションかの違い。
フィクションの方が過激な演出になるのは当然のこと。

時代設定は異なるとはいえメディアが抱える問題は常に同じ。
視聴率と話題性にがんじがらめになり目的があらぬ方向に向かう。
タイプが異なる2作だが恐ろしさを感じることとなった。
ただ本作はエンターテイメント性が強い娯楽作。
社会性はなくはないが「セプテンバー5」とは比較にならないし、比較すべきではない。

阿部寛演じるニュースキャスター折本眞之輔の独壇場で彼自身がドラマ。
何度も観た予告編でもそれを匂わせた。
最近では一番面白い予告編で自ずと期待値が上がった。

期待値が高すぎた分、一般的な評価はイマイチなんじゃないか。
僕は評価がイマイチなのを確認してから観たため、逆に期待した以上に楽しめた。
不思議なもんだね・・・。

ハラハラドキドキの展開なのは間違いないが、観る人にとっては受け止め方は変わる。
よりサスペンス度を高めるのか、よりエンタメ性を高めるのかで映画の角度は変わる。
本作は両方狙おうとしたのかもしれないが、それはかなり難しい。
どちらかに寄せた方が作品自体のクオリティは高まる。

上から目線で申し訳ないが、そんなことを感じた。
ニュースキャスター折本の言葉が重いのか、軽いのかはっきりさせた方がよかった。
ショウタイムなので観客を楽しく喜ばせるほうがいいのだろうが・・・。

映画はラジオ局内、テレビ局内とほぼ密室で繰り広げられる。
取材現場からの映像はあるが、これもカメラを通して映っているにすぎない。
小さな世界にも拘わらずスケールの大きさを感じた。
このトリックが本作の最大の面白さだったりして。
ブログを書きながら、そんなことを思った次第。

本作はテレビ局の裏側を描いているが、少なからず近い出来事はあるかもしれない。
こんな描き方だとますますテレビ離れが進む。
余計なことを心配してしまった。

勇気は時として仇になってしまうね。