全く予備知識なく鑑賞。
映画を観終わって初めて監督と主演が同じだと知った。
僕が主演と思っていたのはむしろ助演で、監督本人が主演。
一体何のことか分からないよね(笑)。
本作はユダヤ人のデヴィッドと兄弟のように育った従兄弟ベンジーの旅を描く。
デヴィッドが主演のジェシー・アイゼンバーグで、ベンジーが助演のキーラン・カルキン。
ベンジーの方が圧倒的な存在感なので主演とも受け取れるが、作品はデヴィッド目線。
キーラン・カルキンはゴールデングローブ賞の最優秀助演男優賞を受賞。
本年のアカデミー賞にもノミネートされている。
まあ、納得できるよね。
最優秀作品賞にもノミネートされていたが、あまり話題になってはいないような・・・。
テーマが地味すぎるのかな。
従兄弟同士の2人はポーランドのツアー旅行に参加。
そこでの珍道中を描くが、背景にあるのは生きづらさ。
生真面目で社交性に欠けるデヴィッドと社交性豊かだが感情的なベンジー。
対照的な2人はもしかしたら現代人の象徴かもしれない。
お互いに悩みを抱え、それをオープンにするでもクローズにするでもない。
ツアー旅行に参加する人たちとの関わりを通して2人の人物像があからさまになる。
一般的にみれば関わる人にとって2人は迷惑な行為がほとんど。
ただ関わる人も何かしら抱えるものがあり、2人に対しては寛容。
大きなトラブルが起きることはない。
大人な対応ができない人はブチ切れるだろう。
ふと、思った。
アメリカに限らず、日本に限らず、現代人にとって生きづらさはある程度、持つもの。
ノーテンキな僕が鈍感で感じないだけで、多くの人はそんなふうに生きている。
それが健全なのか・・・。
日本の幸福度ランキングは51位。
アメリカは23位。
かなりの差はあるが僕は日本の方が高いように思えてならない。
アメリカの方が人種が多く様々な課題に向き合わざるを得ない状況をみると余計に感じる。
本作で描かれるユダヤ人もそんなふうに思う。
どんな人に対してもハグできる環境が幸福度を上げさせるのかな。
本作は何か問題が解決するわけではない。
かといって、大きな問題が残るわけでもない。
時間が流れていくだけ。
きっとそれでいい。
世の中はだいたいそう。
原題は「A Real Pain」。
邦題はそれに「心の旅」が加わる。
そこに大きな意味があるのかもしれない。