歯に衣着せぬ表現をされる冨山氏なのでかなり辛辣な書籍と想像した。
のほほんと暮らしているホワイトカラーは消滅し不要になるぞ!
と厳しい言葉を浴びせる内容と思っていた。
その香りはあるが、そこまで強烈ではなかった。
少し安心したかも(笑)。

この類の書籍を読む場合、以前は自分と重ね合せて読んでいた。
自分自身が今後どうしていけばいいのか?
そんな危機感を持ちながら読むことが多かった。
今でもその部分がないわけではない。

しかし、60歳手前で一通りの経験した今、そこまで真剣に自分を重ねることはない。
むしろ下の世代。
息子や娘はどう対処していけばいいか、
会社のメンバーにどうしてもらいたいか、
学生に何を伝えるべきか、そんな目線で読んでいた。

深刻な人手不足は言うまでもない。
採用支援を行う会社として毎日のように現実に晒されている。
一方でAIによって無くなる職業や仕事が語られる文脈も多い。
狭間に立つ者は自分の立ち位置に戸惑うだろう。

超売り手市場で学生の就職先への危機感は薄らいでいるが、
未来に対して不安は大きい。
漠然とした未来に期待感ばかり持たせるのは危険だが、
社会に対してネガティブになって欲しくないというのが個人的な考え。

そんな時に本書は有効的だ。
大学進学率が圧倒的な今、大卒の優位性がないのは事実。
すべてがホワイトカラーになれることはない。
古い価値観は捨てた方がいい。

多分、今の若者は現実を理解しており、親世代の方が古い価値観に縛られている。
50代の管理職も・・・。
僕が危うい世代なのは間違いないが、
仕事柄、幅広い層と接し何とか踏みとどまっている。

冨山氏はローカル経済の重要性を語ることが多い。
本書でもグローバル産業のホワイトカラーから
ローカル産業のエッシェンシャルワーカーへのシフトを取り上げている。
いずれホワイトカラーの仕事はブルシットジョブになってしまう。
そうなる前にアドバンスト・エッシェンシャルワーカーになれという。

確かにそういえるだろう。
僕の場合、ドブ板営業からスタートし、本書でいう「駅長さんモデル」を経験しただけ。
それが却って良かった。
そもそもホワイトカラーの能力がないかもしれないが、
ローカル企業で一通りやれたのはシアワセなこと。
ローカルな中小企業も悪くはない。
おススメするつもりもないが、ひとつのケースにはなる。

本書には世代ごとのホワイトカラーの処方箋も著されている。
特に若い世代には勉強になるのではないか。
可能性も広げられるしね。