公開直後のレビューの高さは気をつけなけばならない。
実力以上に高い評価が頻繁に見られる。
公開から一週間ほど経過すると恐ろしく下がる作品も多い。
本作がそれだというつもりはないが、公開時は高い評価。
それが理由で観るのを決めた事も否定できない。
それだけでなく韓国の若者の実態を理解できると思ったのも理由の一つ。
日本でも韓国でも若者が生きづらさをよく耳にする。
先日の「ANORA アノーラ」や「リアル・ペイン 心の旅」もその面が強い。
成長を求められる世界では顕著に表れるのか。
職業学生にとしても教える立場としても把握しておきたい気持ちは強かった。
韓国と日本は似ている面は多い。
若者が将来に不安を抱くのは共通するし当然のこと。
舞台が日本でも違和感は感じないが、韓国の方が格差は大きい。
家庭環境、学歴、働き方は特にそう。
それが国嫌いに繋がり、海外に飛び出す理由になる。
日本の若者は内向きで海外に出ないというが韓国は真逆なのか。
主人公ケナの行動をみるとそう感じる。
ケナは英語を話せないが、家や職場から離れたい一心でニュージーランドに渡る。
周りには同じような韓国人もいたり。
セリフにもあったが、裕福な家庭であればニュージーランドではなく向かう先はアメリカ。
会話から劣等感を感じ自分の存在を図ってしまう。
国を出ても不安がなくなることはない。
むしろ暮らしの中で本国と海外の違いを知り、
ウザかった家族のありがたみを感じることとなる。
それを理解するためにも海外で揉まれる必要もあるだろう。
安易な目的で問題は解決しないが行動しないよりはまし。
なんらかのキッカケを掴むことは可能。
そんな点では何も変わっていないと思えるケナは成長した。
モヤモヤがなくなることはないが・・・。
派手でもなく地味でもなく平凡な日々から得る経験が人には大切。
そんなことを感じた映画。
レビューが高くなるか低くなるかは感じ方の違い。
大いに共感する人とそうでない人と大きく分かれそうだ。
ケナを演じるのはコ・アソン。
韓国は美人女優が多いイメージだが、至って普通。
(失礼ですね)
それが等身大の若者を映し出すようでいい。
韓国映画特有の派手な演出もない。
時にはそんな作品を観るのもありだね。