スパイ映画はほとんど観ていない。
特に理由はないが、「007」シリーズも、
「ミッション:インポッシブル」シリーズもほぼ観ていない。
いずれ観ようとは思うが、優先順位が後回しになってしまって。
興味がないわけじゃないのに・・・。

本作はスパイ映画ファンにとっては物足りないのかもしれない。
派手なアクションも壮絶な闘いもない。
先日観た「アンジェントルメン」の方が派手にやり合うので、
シンプルな見方なら断然面白い。

それはそうだが、個人的には非力な主人公が
頭脳を駆使して相手を陥れる方が好きだし面白い。
強靭な肉体で相手をバッタバッタ倒すのも悪くはないが、
僕は弱いヤツの方が共感できる。

だからだろうか。
ラミ・マレックが演じる主役チャーリーに惹かれる。
闘いも弱いし銃を相手に向ける勇気もないが、
それなりに強がりだし、相手に立ち向かおうとする姿勢はいい。
何より国とか組織のためでなく、奥さんの仇をとるための小さな動機がいい。

予告編では屋上プールが破壊されるシーンが流れていたが、まさにあの感じ。
得意の頭脳戦に上手く誘導し目的を果たす。
あんな罠をわずかな時間で仕掛けられるのは信じがたいが天才オタクゆえにできる技。
おかげで次にどんな作戦が組まれるのか予測できない。
アクション中心の映画よりもハラハラさせられる。

展開が早いので一気に観れるが、不思議に思った点がいくつか。
危険な状態に追い込まれ、間一髪で逃げる時もパソコンは持ち出せるのか。
いろんな通貨の国を渡り歩くが、すべてカード決済なのか。
あんなに人を殺しても最終的に逮捕されないのか。
あっ、ネタバレか(汗)。

そんな見方をしているのがアマチュアだったりして。
本物のアマチュアはそんなことは気にしない。
目的達成のためにひたすら頭を使い続け、大きな組織さえも巧みに欺く。
それでいいんだ。

本作は予告編を何度も観て観ようと思った。
内容は裏切られることはなかった。

映画的には人をバンバン裏切るんだけどね。