うちの会社では「全員参加」というワードをよく使う。
このワードは僕が代表に就任する前からずっと言われてきたこと。
会社のメンバー全員がその業務に取り組み、全員で仕事を仕上げていくことをいう。
新人もベテランも関係なく、全員が主体的に行動することに重きを置く。
「全員参加」という言葉は僕もいろんな場で頻繁に使用するので、自ずと意識が高まらざるを得ない。
本書「全員経営」も言い換えれば、同じようなことに思える。
全員がCEOになり業務に取り組む。そこまで大袈裟ではないが、
その当事者意識は会社にとってプラスに働く。
本書では再建を果たしたJALやヤマト運輸、
セブン&アイ・ホールディングスなどを実例にその必要性を説いている。
このような大手企業の取り組みも十分参考にはなるのだが、
自社に当てはめようと規模感の違いから、どうしてもイメージできない。
それは僕の読解力の問題もあるのだが(苦笑)、
むしろ後半に紹介された中堅・中小企業5社の共通性が参考になった。
伊那食品工業やメガネ21、未来工業などはビジネス誌などで多く紹介されているため、
新鮮さがあるとは言い難いが、各社の共通性やその取り組みは自社への落とし込みも
十分可能ではないかと思わせてくれた。
何が共通感覚かを問うとき、人間としての「生き方」が問われます。
その意味で、コモンセンスの経営は「生き方の経営」「存在論の経営」でもあります。
一方、アングロサクソン型の経営は利益が目的化し、存在論は問いません。
だから、ルールによるコンプライアンスが必要となる。
(略)
コモンセンスの経営はコンプライアンスを必要としない。
一人ひとりの実践知を育成していくためにも、
私たちはもう一度、共通感覚としてのコモンセンスの大切さを認識すべきではないでしょうか。
このくだりが僕には一番印象的であった。
確かにコンプライアンスは重要。今の会社経営の中でそこを無視して業務を進めることはない。
しかし、そこばかり注意しているとどんどん会社がつまらなくなっていく。
遊びの幅も失われてしまう。
それでは働く社員にとっての「いい会社」を作ることは難しい。
自分の給与を上げるためだけに仕事をしているわけではないのだから・・・。
僕がどこまで「型破り」なことができるかはわからない。
むしろ、それほど大層な事はできない。
だが、「いい会社」(この定義は明確にするとして)を作ることを目的として、
全員参加で進めていきたい。
何となくチープな表現になってしまったが、本書を読み、改めてそう感じた。