京都研修の翌日、せっかくの機会なのであちこちと回らせてもらいました。
京都観光大使に伏見稲荷に行くことを告げると
「山田さん、体力が残っていれば中書島の酒蔵を覗くのもいいですよ。
このお店もいいですよ」
と耳元で悪魔のように囁き、スマホを見せてくれます。
これは行かねばなりません。
「京都へ来て、日本酒を飲まずに帰るわけにはいかない!」
強い決意を持って、おススメのお店に向かいました。
結局、酒蔵巡りをする時間はありませんでしたが、
人気食べ物ブロガーの仕事は忘れてはいません。
伏見桃山と中書島の間にある「鳥せい」さんにお邪魔しました。
こちらは神聖酒造の蔵出しのお酒を飲ませてくれます。
ちょうどお昼時で満席のため、10分ほど待ちました。
待合席も気が利いています。なんとも居心地がいいのです。
キレイな女性スタッフが
「おひとりでお待ちの山田さ~ん、こちらへどうぞ~」
と優しく案内してくれます。
「コートをお預かりしましょうか?」と接客もなかなかです。
「あっ、はい、お願いします。」
とコートを渡し、カウンター席に座ります。
「飲み物は何にされますか?」
今度はちょっと威勢のいいお兄ちゃんが声を掛けてきます。
「え~と、どうしようかな?お勧めの日本酒はなんですか?」
「今の季節なら、断然、たれ口ですね。」
「では、それをお願いします。」
ツマミを数品頼み、「あとお勧めはありますか?」と聞くと
「串物を頼まれたので、揚げ物はいかがですか?うちの手羽先はお勧めですよ!」
と自信満々にお兄ちゃんは応えます。
「ほ~、そうくるか。名古屋人のオレに手羽先を勧めるとは、いい度胸じゃないか。」
心の中でそう呟き、「じゃあ、それもお願いします。」
と手羽先の挑戦状を受け入れることにしました。
砂ずりコリコリとたれ口
「うん、いい、これはいい。口の中がふわ~んと広がる。
新鮮な酒を飲んでる感じがたまらなくいい。」
と声に出すのをグッと我慢します。
隣のオジサンも一人で飲んでいます。常連客でしょうか。
熱燗をちびりちびりやっています。
「熱燗かあ~、それもいいなあ~。」
まだ昼の12時過ぎですがお客さんは当たり前のようにみんな飲んでいます。
「いいぞ、いいぞ、この堂々とした感じ。たまらなくいい。」
どうもこの日は似たり寄ったりの表現しか出てきませんが、それも許されるようです。
とりねぎ、心ぞう、きも
手羽先
「ほう~、こうくるか。さすが、名古屋人のオレに勝負を挑んでくるその自信、なかなか、いいぞ。」
手羽先もパリッ、ジュワと香ばしくも肉厚もあり美味しいです。
「さて、この後、どうするかな。」とメニューを改めて見ます。
「ここは一発、熱燗、それに合うのは、とりコロッケ、とりマヨ、いや違うなあ。
ちょっと腹も減っているし・・・。よしっ、ここは鍋で勝負するか!」
「すいません、鉄斉の熱燗ととり味噌鍋、うどん付きでお願いします。」
これは見事なオーダーです。これを上回る頼み方は考えられません。
とり味噌鍋770円+うどん200円
「おやっ、味噌鍋なのに鍋が白いぞ。
あっ、そうか、ここは京都なんだ。」
赤味噌文化に慣れた身としてはこの味噌鍋は違和感があります。
火が通るのを待ち、鍋をかき回し食べ始めます。
「おっ、いいぞ、なかなかいい、想像と違うけど、いかにも京都で鍋食べてるって感じがいい。」
相変わらずボキャブラリーのない表現でこの日は食べ続けます。
人気食べ物ブロガーと言えども、表現に苦しむ時はあるのです。
そして最後はうどんで〆ます。
熱燗で体が暖かくなり、うどんでお腹も満たされます。
京都のお昼の楽しみ方をひとつ覚えました。
ごちそうさまでした。