これは純愛映画なのか、母子溺愛映画なのか・・・。
そんな印象を与えないわけではない。
この文字だけ捉えれば安っぽい映画になってしまうが、そうではない。
美しさと同時に奥深さを感じる。
年齢を積み重ねた吉永小百合さんはいつまでも美しいし、
普段、あまりキレイだと思わない(スイマセン)黒木華さんも可憐だ。
とびきりの美人じゃないが、とても可愛らしく見せる力を持っている。
きっと真田丸も面白くなるぞ・・・(笑)。
言いたいことはそんなことじゃない。
ある意味、日本映画らしさを感じる。
山田洋次監督はいつまでたっても山田洋次監督。
CGを活用したり時代と共に変化を感じるのだが、山田監督の描く世界はいつも同じ。
そこには人間らしい優しい人々がつきまとう。
台詞回しとか、人の視線とかどんな作品でも同じように感じる。
それは否定しているのではなく、人としてあくまでも自然。
だから山田作品を観ると落ち着くのだろう。
だからと言って、本作が戦争の悲惨さを伝えていないわけではない。
お母さん役の吉永小百合さんからも息子役の二宮くんからも伝わってくる。
厳しい表情なんてしていない。
親子を想うその優しい表情がジワジワと伝えてくるのである。
全体としてはいい映画だと思うのだが、個人的に納得しなかった点はある。
あのラストシーンはいかがなものか?
もちろん監督のこだわりや大きな意味があるのだろうが、
僕としてはもう少し違う描き方をして欲しかった。
話は全く違う方向に飛んでいくが、
僕は大学時代に映画研究会に所属しており、ちょくちょく映画も撮っていた。
その当時、制作したひとつに「死んではみたけれど」という作品がある。
アイドル歌手の自殺の後を追い自殺する若者の話。
一応、コメディなのだが、ちょっと似てるのではと思ってしまった。
ただ死後の世界から戻ってきて、いろいろやらかすストーリーなんだけど・・・。
まあ、どうでもいいか(笑)。
「母と暮らせば」を観たのはつい最近。
映画が公開されて1ヶ月以上経った頃。
それでも結構、お客さんが入っていた。
2人組の女子高生もいた。
このような映画が幅広い世代に観られるのはうれしいこと。
山田洋次監督もかなりの高齢だが、いつまでも精力的に映画を作ってもらいたい。