riku1681

いかにも池井戸作品といえるような展開。
ケチな銀行も嫌らしい大手企業も定番中の定番。
池井戸ファンは何となく予測できてしまう。
著者はあえてそれを狙っているのではとも思えてしまうほど。

多分、その定番路線をあえて選び本書を書き上げているのだろう。
だからと言って、すべて読み取れるわけではない。
ワンパターンで済ますストーリーではない。

どんどん吸い込まれ、588ページにも及ぶ大作を一気に読んでしまう。
その力強さと読者を共感させる力は同じ岐阜県人にとって誇り。
あんまし関係ないかな(笑)。

今回はマラソンシューズをテーマにしている。
少なからずランナーの一人として、ここに書かれているランナーとしての悩みは理解できる。
そのあたりのリサーチ力や共感度はさすが。
単に企業小説に強い作家ではない力も証明されている。
そんな点からも読むべき一冊だと思う。
それは池井戸ファンであっても、そうじゃなくても。

そして、思う。
これってドラマになりそうだと・・・。
来年4月からTBS系日曜21時からのドラマで放映されるんじゃないかな(笑)。
主役は誰が似合うかな。
う~ん、そうだな。
竹野内豊氏とか、浅野忠信氏とか。
固さをちょっと崩させて・・・。

僕としては一層のこと、映画を製作してもらいたい。
2時間半のドラマチックな映画を作ってもらいたい。
必ず観に行く。

池井戸作品の主人公は中小企業のオヤジ(社長)。
今回もそう。
それだけでも感情移入するが、その背景に自分をダブらせながら読む。
オーバーラップさせることも多い。

そこで本書で改めて感じたのはお金の重要性。
結局、お金がなればそのアイデアも情熱も生かすことができない。
会社自体の存続も危うくなる。銀行との交渉も命懸け。
そんなことを思うといかに僕がラクをしているか。
また、資金繰りという重要な仕事から解放されているか。
反対に未熟さを感じてしまったり・・・。
そんなことも教えてくれる。

経営者もビジネスマンもアスリートも読んだ方がいいと思えた一冊であった。