基本は実名をそのまま記したノンフィクション。
しかし、読み進めていくうちに真山仁か池井戸潤のビジネス小説かと錯覚してしまう。
この2人の作家を例に出すのはあまり相応しくないですね。
同じビジネスでもちょっと分野が違う。
両氏とも結構、銀行員が登場するが分野は違う。
誰に近いのだろう?思いつかない。
この2人以外の小説を読んでいないから当たり前か(笑)。
それだけ名古屋の田舎者はリアルで起きた出来事とは思えない。
架空の世界のように思える。
むしろ今年観た「マネーショート」に近い。
著者の清武氏は「切り捨てSONY」から連続で読んでいることになる。
確かな表現力と筆力である。
ジャイアンツのオーナー代行を解雇されたイメージしかなかったが、
読売新聞の記者を長年務めたいたわけだから、当然のこと。
社会派のノンフィクションライターとしては注目すべき存在なんだろう。
今を思えば、ジャイアンツとのゴタゴタは売名行為として
最高のパフォーマンスを発揮したと言えるのではなかろうか・・・。
そんなことを書くと叱られるな。
冗談です。すみません・・・。
本書の主役は大垣市出身。時に岐阜弁も出る。
最近は映画でも書籍でも何かと岐阜県が取り上げられることが多い。
話は変わって申し訳ないが、
先日、飛騨古川でインバウンド向けの旅館を営む経営者と話をした。
映画「君の名は。」の影響で一気に観光客が増えたという。
作品がもたらす影響は大きいですね。
話を元に戻すと、野村証券出身の主人公はシンガポールに渡り、
富裕層向けのプライベートバンカーとして資産管理を行う。
そこには税金逃れ、資産隠しなどお金のドロドロとしたシーンが克明に描かれている。
お金持ちとは無縁な世界にいる僕としては
あまりにもかけ離れた世界のため現実感は乏しい。
また、それがあったとしても羨む世界ではない。
いい表現をすれば、大きな財産を守るために的確な運用を行うのがプライベートバンカーの仕事。
しかし、あまりにもドロドロ。
小心者の僕はあまり関わりたくない分野。
その生活が楽しいとは到底思えない。
今も多額の税金や保険料を払っている気もするが、僕はこの状態でシアワセだ。
金の亡者にはなりたくはない。
反面、お金を気にしない場面も想像できない。ないと困る。
そんなお金に惑わされる人物が本書には数多く登場する。
そこで臭いを嗅いでいるのがいい。
客観的にお金を取り巻くシーンを見ることでお金の恐ろしさを知ることができる。
また、こんな世界がリアルにあるのを近く現実の世界から見受けられる。
それはそれで勉強になる。
僕自身はこの手の会社には関わりたくはないけど・・・。