やはり歳を取ってきたと痛切に感じる。
一昔であれば、ここまでウルウルすることはなかった。
もっと冷静に映画を観れていたはず。
感情にもそれほど流されなかったはず。
しかし、それがまんまと作品の戦略に乗っかってしまった。
50歳にもなると人は弱くなるなあ(笑)。
僕は「生きる」とか「死ぬ」とか、
そういったシーンで泣かせる映画はズルいと思っている。
観客を泣かすには分かりやすい手法だが、
ぞれは演出として安易な選択をしているように思えてならない。
そんな斜に構えた見方を映画ではしている。
ちょっと嫌なタイプだ。
本作もいわゆるお涙頂戴もの映画といっていい。
20分間隔くらいでそんな状況に追い込まれたのも事実。
そんな作品だ。
しかし、そこにいかにも泣かせてやろうというシーンは少なく、いつも爽やか。
勝手にこちら側が感じ取っているだけのように思えてくる。
実際、あり得ないストーリーだし、息子もデキすぎだ。
だが、それが素直に受け止められるし、イヤミがない。
なぜここまで感情移入してしまうだろうと自分でも不思議なくらい。
やはり歳を取ってきたのだろう(笑)。
そして、自分が同じ立場だったらどんな行動を取るだろうか
とどうでもいいことを考えてみたり・・・。
引っ張られる映画のようだ。
何より妻役の吉田羊さんがいい。
とてもキュート。
最近の活躍はハンパないが、僕が今ステキに思う女優さんのひとり。
本作でも愛らしい奥さん役を演じており、グラッときてしまった。
夜は「真田丸」に出てたので、ゾッとしたけど・・・(笑)。
強さも優しさも演じられるその表情と自然体に近い喋り方がいい。
この映画はスッピンに近かったんじゃないかな。
お涙頂戴ものと言っても、最終的に辛いシーンは出てこない。
あくまでも温かいままだ。
それがイヤらしい映画とは異なり好感が持てたのかもしれない。