わざわざ映画館まで足を運ぶ必要があるのだろうか・・・とつい思ってしまう。
短編ドラマはネットでも観れたりするからだ。
しかし、より映画を感じようとすれば、わざわざ足を運ぶ必要もある。
派手なアクションがあるわけではない。
壮大なロケーションが行われているわけではない。
製作費にしてもそれほど膨大ではないはず。
それでもわざわざ足を運ぶ。
そう、映画を感じる必要があるのだ。
豚汁がグツグツと煮立つ音、生姜焼きがジュージュー焼かれる音。
匂いはわからない。
だが、感じることはできる。
それも人の温かさや優しさが伝わってくる。
僕は朝型人間なので深夜は得意ではない。
厳密にいえば昔は得意だったが、
40代以降早起きを心掛けるようになり、すっかり夜は弱くなった。
夜遅くまで飲んでいるとたまに寝ていたりする。
それはちょっと恥ずかしいけど、それが実態。
だから深夜12時から朝7時ごろまで営業する「深夜食堂」は僕には合わない。
しかし、この作品を観てしまうとこの「深夜食堂」に行きたくなってしまう。
熱燗をチビチビやりながら、ちょっとツマミを摘み、最後に豚汁定食で〆る。
全くをもって体にはよくないが、そんな夜を過ごしてみたい。
不破万作さんあたりにちょっと絡まれながら、それを軽くかわしながら飲んでみたい。
小林薫さん扮するマスターに「また、来なよ。」と言われながら、店を出たい。
ひとりでしみじみとボソボソ独り言を呟きながら飲むのが正しい方法かな?
とそんなふうに思ってしまう。
前作でもこの作品の温かさについてブログでも触れたが今回も同様。
ひたすら温かい。
人っていいなと思わせてくれる。
東京も悪くないなと思わせてくれる。
前回の映画ブログで池松壮亮さんのことを書いたが、
なんとこの作品にも重要な役柄で出演されていた。
今年、一体、何本の映画に出演しているのか。
僕が観ただけでも4本も出ているぞ。
う~ん、なかなか、やるじゃないか(笑)。
主役のマスターは言葉数が多いわけではない。
気の利いたことや特別なアドバイスをするわけではない。
じっくりと話を聞き、気持ちのこもった食事を出すだけ。
ボソッと相手に気づきを与える言葉を発するだけ。
それがメンターとして大きな役割を果たしている。
相手はそれで十分安心する。
勝手な見方でしかないが、会社においても同じなのかもしれない。
いい人間関係や信頼関係を築くにはそれほど多くの言葉は必要としない。
特に困ったり悩んだりする時はそうなんだろう。
安心できる場さえ提供できていれば、それで悩みは解決の方向に向かう。
なんでも仕事に結びつけるのはよくないが、そんなことを思ってしまった。
となると、部下との関係性に悩んでいる上司は観るべき映画なのかもしれない。