たまにこの手の映画が無性に観たくなる。
洋画にせよ、邦画にせよ、ビジネス中心の映画はさほど多くはない。
大体は社会派ドラマで終わることが多い。

ビジネスの世界で勝ち残るというのは
人の嫌がることを何のためらいもなく実行すること。
嫌われることを厭わないし、むしろそれを善とする感覚が必要。
観ていて痛くなるし、イヤな気分にもなるが、その逆で無性に惹かれるのも事実。
本作もそんな一本といっていい。

マイケル・キートン演じるレイ・クロックは自分勝手そのもの。
他人の話は聞かない。
自分の都合のいいように物事を進める。
身近にいたら、多分、あまり仲良くはならないだろう。
友達にはなりたくない(笑)。

しかし、その凄まじい行動力とリーダーシップでどんどん市場を開拓していく。
それがアメリカだから成功したのではなく、どんな世界でも通用する。
一歩間違えれば、ろくでもないワガママなセールスマン止まりだったが、
その嗅覚ですべてを自分のものにしてしまった。

その嗅覚力だけは尊敬に値する。
嗅覚力なんて言葉があるかどうかは知らないが・・・。

本作がどこまで真実を描いているかはわからない。
かなりデフォルメされている気はするが、
正真正銘、そのまま事実を描いているのかもしれない。
大きな成功物語であるの間違いないが、観る者の多く感動を与えるのではなく、
なんとなく気分が優れないまま映画を観終わることになる。
ラストシーンがそれを象徴しているようにも感じる。

しかし、それは僕が抱く思いに過ぎない。
あくまでも日本人的な感覚。
アメリカンドリームとしてトランプ支持派は絶賛するのかもしれない(笑)。
他人を蹴落としても自分が這い上がることが正しい文化だとすれば・・・。

映画で登場するオペレーションは当時は先端なもの。
それを真似て進化させることでイノベーションとなり、
新たなオペレーションを生み出す。
今ある当たり前を人はどうも忘れがちになるのだが、
そのサービスのありがたさや価値を知るには歴史から学ぶしかないようだ。
やはり最初が肝心。

当時のマックは味にこだわっていたというが、
今よりも格段に美味しかったのだろうか。
もし、そうだとすれば失脚したマック兄弟の価値が新たに見直される時が来るのかもしれない。

カリスマになるのも、狂言者になるのも紙一重。
時代が違えば、マクドナルドの創業者といわれる人物は犯罪者だったのかもしれない。
常に成功するビジネスの背後には危険が待ち受けているということ。

僕のようなボンクラ経営者は観ておいた方がいいのかも(笑)