こんにちは、安田です。
自粛期間も明け、ノソノソと動き始めています。
先日は美濃加茂市にある「ヤマザキマザック工作機械博物館」に行ってきました。
その名の通り、ヤマザキマザック(通常・マザック)が運営する工作機械の博物館です。
一企業のアーカイブというより、トヨタ博物館のように歴史上重要な物品についてはメーカーを問わず集められて展示されていました。
夕方近くに行ったためかお客さんも少なく、博物館の方が展示の半分近くをつきっきりで案内してくださりました。ありがたい……
色々と話を伺っていたら、「メーカーの方ですか?」と尋ねられてしまいました。
いえ、確かにお客さんにメーカーさんは多いですが…そんなに警戒なさらないでください。
さてこの博物館では、マザックのベテラン技術者らの手によって1世紀近く前の物すら復元・メンテナンスされ、展示品の多くが動態保存されています。
つまり、実際にガッションガッションいって動きます。
が、マニアックすぎて、パッと見てすぐ帰ってしまう人もいるのだとか(笑)
※写真に写っているのは大体近現代の物です。
さて、工作機械とは、部品を意図した形に削ったり、穴を開けたりする機械です。
産業革命以降、大量生産・大量消費の時代が到来しましたが、そのためには「職人による一品ごとの手作り」では間に合いません。
大量生産を実現するためには、寸法や重さなどの規格を決めて同じ部品(例えば、同じ規格のネジと、それに対応したネジ穴)を分業下で製造していく必要があります。
「一つネジ穴を掘って、職人がそれに合わせてネジを切る」という方法でも製造時は構いませんが、規格が厳密にそろわないと、例えば故障時に交換部品の調達が困難になってしまうからです。
同じ規格で大量生産するには、高精度・高速で稼働する工作機械が必要不可欠なのです。
そのため明治から大正にかけて政府が大企業各社に対して工作機械の製造を勧め、当初は欧米製の高級機を分解して研究し、丸ごとコピーしようとしていた歴史なども紹介されていました(写真にはありませんが)。しかしその工作機械を作るための部品すら高精度で作る必要があるような…
※余談ですが、工作機械は一定の精度を超えると軍事転用時のリスクが高くなるため、外為法に規定する安全保障貿易管理の枠組みに入ります。
勝手に輸出できません。ルールの策定・運用については、日本では経産省とCISTECが中心になっているかと思います。
機械メーカーや商社はここら辺実は、センシティブですね。企業によっては、社内審査をする専門職種が置かれているケースもあります。
人材の仕事をしていると、色んな事を知れますね。
さて、最も興味深かったのは産業革命初期の工場の展示です。
面白いのは、機械の動力を天井に走っている軸からベルトで採っているということ。
初期は風力や水力から動力を得て、それで天井に掛けた軸を回し、個別にベルトを通じて機械それぞれを稼働させていたのだそうです。
そのため、工場のレイアウトがどうしても長細くなってしまったのだとか。
軸を回す動力源は風力や水力から、家畜、そして蒸気機関へと移り、
最後にモーターによる個別動力源を得たことで、自由なレイアウトが可能になったのだそうです(聞いたことの記憶違いでなければ!)。
奥の壁の向こう側には鍛冶場もあり、職人たちが刃物を鍛え直す様子が展示されていました。今でいう生産技術部でしょうか。笑
現代の装置が展示されているコーナーでは、「お客さんのところで似たようなの見たことあるぞ」という装置もちらほら。
マザックの装置は高いのでしょうね。
ちなみにマザックは、無数の関連会社を連ね、従業員も連結約8000人を擁する大きなグループですが、非上場企業です。
社長も会長も山崎さん。実に面白いですね~
ではまた!