高井です。
最近の記事で、ライフネット生命会長の出口さんのインタビューが面白かったのですが、
これまでの日本の『メシ・フロ・寝ル』の長時間労働から、
働き方改革を行って、長時間労働を是正して生産性を上げなければいけないという話をされていました。
生産性をあげるためには、これからは『人・本・旅』からいろんな経験を積んで
発想力や柔軟力を養って、いろんなアイデアを出さなければ経済が成長しない段階にきていると。
出口さんによれば「旅」とは、現場に足を運ぶこと(直接経験)で、「人・本・旅」で勉強していけば
色々な世界や色々な人の話を聞いて、あるときそれらが結びついてイノベーションが生まれると。
そういえば、優れたマネージャーの経験についての長年の調査では、成長を促された経験で
70%は自分の仕事経験(直接経験)、20%は他者の観察やアドバイスから、10%は本や研修からというデータがありました。
まさしく「人・本・旅」を裏付けているのかなぁと思います。
そして人の成長の大半である70%を占める直接経験について大変わかりやすく言葉で
経験学習とは何か?をたいへんやさしく教えてくれるのがこの本です。
★職場が生きる人が育つ「経験学習」入門 (松尾睦著 ダイヤモンド社 2011年)
経験学習サイクルとは、著者によれば
①「具体的経験」をした後、
②その内容を「内省し(振り返って)」
③そこから「教訓」を引き出して
④その教訓を「新しい状況に適用する」ことで、
成長ができる人は①〜④のサイクルを回すことで経験から多くを学んでいます。
ここで大事なのは「振り返り」と「教訓の引き出し」です。
単なる経験では、何も得ることはありません。
また経験からもっと良く学ぶ為の姿勢として「挑戦し、振り返り、楽しむ」という3要素を
「ストレッチ(挑戦する力)、リフレクション(振り返る力)、エンジョイメント(楽しむ力)」
として定義し、これに学ぶ原動力として個人の「思い」と人の「つながり」をあげて、
経験から学ぶ力とは
適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、
人は経験から多くのことを学ぶことができる
と著者は言います。
経験学習とは、実はみんなが多かれ少なかれ普通に(無意識に)実践しているのですが
それを言語化し、経験を意識化することによって、もっと多くを得ることができる
実践的な知識だと強く感じました。
そして、「経験学習のサイクル」と「PDCAサイクル」、そして「OJTサイクル」との関係性の上記の図などは
効果的な「学ぶー教える」の関係を表していて、成長を助ける指導の上にもたいへん参考になるものだと思います。
悩めるマネージャー? 成長したい若手? 成長が止まったように感じている中堅?
そんな方々にオススメの実践的な一冊だと思います。