高井です。
今日は昨日読んだこの本について。
『図解モチベーション大百科 』 編著:池田貴将 2017年6月 サンクチュアリ出版
モチベーションについての本といえばマズローの5段階欲望理論や、
ダニエルピンクの成果主義を否定し、内発的動機を重視した「モチベーション3.0」などがすぐ浮かぶ。
しかしこの本はそのような本とは全く違う。
世にあるモチベーションの法則を俯瞰するというユニークな本だ。
この『図解モチベーション大百科』はいわば、人が何ほどかの「選択」をする際の、
そもそもその選択をする理由について多数書かれており、
過去の様々な行動心理学の実験の例と作者独自の解釈を集積した、
文字通りのモチベーションの百科事典的なアーカイブになっている。
この本には様々なモチベーションについて示してあるが例えば、
チャプター2の人材育成の章「焦点の移動」では、
ある会社で仕事の面白さについてどうか聞いたところ、
面白くない、面白くできないとネガティブな回答をした社員に対して
さらに2つの質問をした実験で
1)なぜそのように考えるのか?を聞いた場合
→多くが仕事は面白くないものだ!という考えに固執した。
2)面白くないと考えることで仕事にどう影響しているのか?
→ネガティブに考えることは、仕事上メリットがない、ということに多くは気づき、
そのうち一部の社員は「どうすれば仕事を面白くできるのか?」を考え出した。
ここで作者の解釈は、
「人の考え」は理由を尋ねると強化され、
目的を尋ねると軟化する傾向がある、という。
つまり理由(なぜ)を問うことは、過去に意識を向けさせ「より自分は正しい」と思うようになる。
逆に目的を尋ねることは、今のメリットと未来へ意識を向けさせ、より柔軟な考えになる、という。
もう一つ例を出すと
チャピター4の意思決定の章「プロスペクト理論」では、
まあ、これは有名ですが簡単に言うと
「得られるもの」か「失うもの」かどちらの話か、という順番によって人は選ぶものが変わってくる。
つまり「得られるものはなにか?」にフォーカスを当てながら考えると、
多くの人はリスクのある選択を避けるようになる。
逆に「失うものは何か?」にフォーカスを当てながら考えると
多くの人は損失を回避するためだったら多少のリスクをとってもいいと考えるようになる。
作者はこのモチベーションを集積したこの本の使い方について「あとがき」でこう話している。
一つの「やる」をやり続けるには一つの法則だけではどうにもならないと学んだから、様々な法則を学んだと。
少し長いですが引用します。
「やらない」選択肢を減らすとうまくいく・・・、
「やらない」に痛みを結びつけて
「やる」に快感を結びつけるとうまくいく・・・、
求められていないことをあえて自分で決めてやるとうまくいく・・・、
身体を「やる」ような姿勢にすることでうまくいく・・・、
そんな法則たちをたくさん頭に入れて、
それらを総動員しながら「やる」を選ぶようにしました。
そして今ではほとんどの状態において、
「やる気がある」状態でいられるようになりました。
(239頁エピローグより)
この辺りが自分は強く共感できた。
内面からやってくるコントロールできないようなモチベーションの為に、
この「モチベーションの仕組み」を使ったらいいと思うし、
もしくは、自分の本当のモチベーションを大切にする為に
この「モチベーションの仕組み」から自由になるべきだろうと考えた。
しかしそのコントロールできないようなモチベーションを自分としていいのだろうか?
そもそも自分を動かしているものは何だろうか?
そんなことを考えさせられるユニークな一冊でした。