こんにちは。水谷です。
読書の秋。最近読んだ本から。
ファイナンス思考
朝倉祐介著
ファイナンスとは、会社の価値を最大化するために、外部からの調達や事業を通じてお金を確保し、
そのお金を事業への投資や資金提供者への還元に分配し、
これらの経緯の合理性をステークホルダーに説明する一連の活動のことをいう。
そういったものを扱う土台となるのが、この本では「ファイナンス思考」であると述べている。
「会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線に立って事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方」と定義している。
簡単にいうと、将来に稼ぐと期待できるお金の総額を最大化しようとする発想をいう。
増収増益を果たす、業績をよくするために売上を伸ばそう、無借金だから健全経営である。
といったフレーズを時折耳にすることがある。それ自体は決して間違っていないと思うが、
先行投資をする、保有資産は何か、その資産を有効に活用して成果を得ようとする発想が抜け落ちていると指摘している。
著者のいうPL脳とは、損益計算書の売上や利益といった指標を、目先で最大化することを目的としており、
今の事業の延長線上で数値をよく見せようとする発想をいい、多くの企業に陥っていると述べている。
報告する立場として大いに反省させられる。
一方、ファイナンスには事業内容によって最適な時間軸を設定し、長期的に未来に向けた価値の向上を目的とし、
そのために、逆算的、戦略的に事業成長を目指すものだとも述べている。
会社が小さい、現状維持であれば、発送を知るだけで良いかもしれないが、大きくなるほど、会社の保有資産を有効活用し、
より大きな価値を生み出すため、会社が大きくなるほど、この思考は重要である。
また、進行したPL脳として、売上至上主義、利益至上主義、キャッシュフロー軽視、バリュー軽視、短期主義などの症状として表れると述べている。
利益至上主義に陥ると、長期的な視点に欠け、投資の思考はどうしても薄れてしまうことは事実だと思う。
また、キャッシュフローに対する注意も薄くなりがちに陥ってしまう。
目先のPLをよく見せようとすること優先する発想では、短期的なコスト計上を必要とする施策は打てず、
長期的には価値を押し下げてしまうことに繋がりかねないと指摘している。
この本に書かれていることはよくわかるが、自社にとってファイナンス思考の長期的な施策って何だろうかと思ってしまうのだが・・・
これまで、経理屋の立場として会社の数字に携わってきた者としては、特にここ数年、短期的な利益の大小に一喜一憂していたことは間違いない。
それが原動力となり、動いていたことも否定できない。だが、今後はその発想だけではやっていけないことを改めて感じた。
これから会社にどう貢献していくのか、PL脳も必要だが、今後はファイナンスの考え方を取り入れていくこと求められるのではと感じているが、
どう入れたら良いのかは今後の私自身の課題であることを認識させてくれる一冊になった。