早いもので、2014年大トリのブログを書いたと思ったら
あっという間の2015年1月も終わり!まじっすか?早くないっすか?

という事で1月もトリを務めることなりました

キャリアコンサルタントの臼井でございます。

今年も長いですよ!!

年始に読んだ本について熱く語らせて頂きました!

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「君たちに明日はない」。垣根椋介著 新潮文庫

年明けのブックオフで見つけ108円で購入。前から読みたいとは
思っていた小説だった。

この小説の存在を知ったのは、2010年1月
NHKの坂口憲二が主演、堺正章、田中美佐子が出ていたドラマがきっかけだ。
リストラ会社の面接官である30代前半の主人公と、リストラの話を突き付けられた
会社員の人間ドラマだ。

僕自身が人材ビジネスの業界に身を置いているから話が理解しやすく
面白いと感じる部分があるとは思うがリストラされる側の人間模様というか、
会社を去らねばならないという現実と向き合った時の感情の動きなどの
描き方が実に面白い!
人材ビジネスを知らなくてもストーリー性、話のテンポも良く
十分楽しめると思う。
そんな主人公も勤めていた中小広告代理店をリストラされた経験を持つ。

そしてリストラ面談をしたリストラ会社社長に気に入られ入社したという
経緯がありさらに興味をそそる。

様々な経歴、過去を持ったバラエティに富んだリストラ対象者が登場するから飽きさせない。

その中でもドラマでも大好きだった回があり、小説では「旧友」という章だが、
魂を揺さぶられる内容だった。

メガバンクのリストラの準備で面接予定のファイルを見ると、自分と同じ年で、同じ高校。
主人公の出身地は北海道の田舎という設定が、さらに同郷という事で気持ちが入る背景に。

大学は一橋大、本店の企業精査部という花形部門になるまで出世しながら、入行した銀行が
合併で飲み込まれ、ある時期に為替電信部という部署に異動になっている。

ここで同じ高校の同級生で悪友で銀行勤務経験で投資会社に勤める友人に経歴を見せ
バンカーとしてどうだと問う。

答えは最高のバンカーだ、なぜリストラ候補になるんだと、そして俺の知っている奴か?と詰められる。

その銀行マンは花形部署は部から課に格下げされ、上司は飲み込んだ側出身で、
上司の判断に物言いをつけ左遷され、そんな状況を妻と結婚するときの約束もあり
言えないまま1年ほどが過ぎていた。
入行から、今までを振り返り、飼い殺しのような状況ながら収入も悪くはないし、
妻子を守らなければいけない、自分のわがままで家族に迷惑はかけられない、
自分が我慢すれば・・と自分い言い聞かそうとする。

主人公のリストラ面接官は、辞めさせることが仕事だが、辞めることを強要してはいけない、
本人に退職を促すのだが、この時の主人公は一線を越えた行動にでる。
この銀行にあなたの未来はない!と言い放った。

リストラ面接は3回しのげば会社は辞めさせることができない、2回目の面談で一線を越えたあとに
旧友と会う約束をし、そしてその場にもう一人の旧友の投資会社に勤める悪友と待つことに、そして
現れた旧友にある提案をする。

家にもどった旧友は初めて妻に今の状況を話す。結婚するとき、
本当に好きな仕事に付いている人とじゃないとできないと
言われ、仕事を頑張って企業精査部に異動になりプロポーズをして結婚した。
小説を読むと、本当に好きな仕事に付いている人じゃないといけないと思う理由を
話すシーンも書かれているがこれも心に響くのでぜひ読んでいほしい。

同じNHKドラマ ハゲタカでは「辞めないのも勇気だ」という名セリフがあるが、
ここでは

辞める勇気

を振り絞った。

辞めるってのは本当に勇気がいるんです。何回やっても・・。

ただどのストーリにも共通して言えるのだが、リストラという現実を突き付けられて
今までの仕事だったり、働き方だったり、かつて感じた事を思い出し、向き合う。

主人公もリストラをしながら、リストラする人に出会って、自分の過去を振り返る
シーンある。

小説はリストラではあるが、日々行っているキャリアカウンセリングでの転職相談も
実は同じなのではと考えさせられた。

転職を考えるということは 転職するために、自分の今までの仕事はどうだったのか
仕事に対してどう思っていたのか、成果とは、なぜ成功したのか、なぜうまくいかなかったのか
そして自分はどうしたいのかなど今の自分と向き合う事になる。

リストラ宣告されると、受け身というか、心の準備ができていないのでほとんどの人は
動揺し、正常な判断を下せなくなる可能性があると思う。

しかし転職を考えるのは、能動的というか、自ら今の仕事や自分を見つめ直したり、
もう一度アクセルを踏めるきっかけになる可能性を秘めている。

職務経歴書を書き、面接を受ける中で、
自分の強み、弱み、武器と課題が見えてくると思う。
転職をすることで、自身の希望に近いところへ行く事が出来るかもしれない。
転職しなかったとしても、従来の仕事への取り組み方に変化を与えるきっかけに
なるかもしれない。

そしてシリーズ2の最後で、テレビドラマでもそうだったのだが、リストラするだけでなく
働く場も提供したいという想いから人材派遣&人材紹介部門を立ち上げる。(テレビではここで終了)

ここで初めて、人材をクライアントへ提案するシーンも出てくる。

この回も人材ビジネスに身を置いているものが読んでそうだよなーと感心させられる
ストーリーだった。
顧客が求める人物像と、実際その組織の規模、責任者との相性を考えると、求める人材を提案しても
うまくいかない、だから、要望とは違う人材を提案し、受け入れる運びとなった。
これこそ顧客の為の理想の人材提案だと改めて思った内容だった。(そこまで顧客の状況が
把握できるのは、小説ならではの背景もあり普通はあり得ないですが・・)

小説の中では人材派遣でのやりとりだったが、ここは人材紹介でやってほしかったな・・・・

求職者にも、採用企業側にも、気づきを提供できるキャリアコンサルタントになれたら最高だと思うし
その高みを目指したい!